チェット・ベイカーの伝記映画「ブルーに生まれついて」

ジャズ界の天才トランペットーであり、ヴォーカリストでもあるチェット・ベイカーの伝記映画「ブルーに生まれついて」がいよいよ公開されます!
イーサン・ホークが渾身の演技で挑みオスカー有力と絶賛を浴びた話題作です。

甘いマスクとソフトな声で多くのファンを熱狂させ、一時はあのマイルス・デイヴィスをも凌ぐ人気を誇っていたといわれています。
しかし、人気と並行するようにチェットはドラッグに溺れ、転落の人生を歩んで行くのです。
結局最後はホテルの窓から謎の転落死を遂げてしまいます。この転落の原因は自殺、他殺、事故なのか本当の事はわかっていません。

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チェットはトランペットの腕前は超一流ですが、歌のほうは決して上手いというわけではありません。
ヴォーカル・アルバムとして発表した「チェット・ベイカー・シングズ」では、批評家やミュージシャン仲間から物凄い酷評を受けたそうです。「感情がこもってない」、「オカマみたいな声だ」、「レコーディングが許されること自体がおかしい」と・・・。
しかし、ふたを開けてみたらジャズファンはその歌声に魅了され、「チェット・ベイカー・シングズ」は彼の最大のヒット作になり、ヴォーカル・アルバムの傑作として今なお多くの人に愛され続けている名盤です!

Chet Baker, posed, with trumpet, 1955. (Photo by Harry Hammond/V&A Images/Getty Images)
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映画「ブルーに生まれついて」では、キャリア絶頂期の1950年代が舞台ではなく、スポットライトから遠ざかった1960年代の低迷期に光をあて描かれているようです。一人の天才ミュージシャンの転落と苦悩を描くとともに、ある一人の女性との出会いによって再生する姿を描いたラブストーリー。
監督を務めるのは、以前多くのジャズフィルムを手がけてきたロバート・バドロー監督。
チェットに対しては、2009年に謎の死を主題にした短編『The Deaths of Chet Baker』を録っていますので、今回が2作目! チェットへの心酔っぷりは相当なようです!
チェット・ベイカーを演じるイーサン・ホークは、6カ月に及ぶトランペットの集中トレーニングを受け、劇中ではスタンダード曲「マイ・ファニー・バレンタイン」でその腕前を歌声とともに披露。チェットの代表曲をイーサン・ホークがどう歌いあげるのか見物です!

ここで、チェット・ベイカーのことをまだあまり知らないという方に是非オススメしたいアルバムを3作品ご紹介します。

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「CHET BAKER SINGS」(1956)
思わず、”甘ーーーい”と叫びたくなる様なヴォーカル・アルバムの名盤。
ジョアン・ジルベルトがインスパイアされ、ボサノヴァ誕生の一因となった作品としても有名。
やはり「マイ・ファニー・バレンタイン」はハズせないでしょう!

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「Theme Music From “The James Dean Story” 」(1957)
24歳の若さで自動車事故死してしまった俳優のジェームス・ディーン。
彼を追悼した映画「ジェームス・ディーン物語」で使用された曲をジャズ化したアルバム。
“ジャズ界のジェームス・ディーン”ことチェット・ベイカーのトランペットが大きくフィーチャーされています。
ジェームス・ディーンにはチェットのトランペットが良く似合います。

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「CHET BAKER & STRINGS」(1954)
米コロムビアに録音された唯一の作品。
豪華なフル・ストリングスをバックに、若きチェット・ベイカーの堂々としたプレイが聴ける名作。

映画を観る前の予習として「CHET BAKER SINGS」だけでも 事前にチェックしておくと、より楽しめるんではないでしょうか。
「ブルーに生まれついて」は、2016年11月26日(土)から東京・渋谷のBunkamura ル・シネマ、角川シネマ新宿ほか全国で公開!

(杉澤)