「Auto-Tune(オートチューン)」がもたらした革新とは(その②)

みなさんは覚えてくれていましたでしょうか?
約1年前、音程補正プラグインソフトウェア「Auto-Tune(オートチューン)」の歴史について書いた記事を…

覚えている方もそうでない方も、まずはこちらの記事をご覧ください。

・「Auto-Tune」がもたらした革新とは(その①)

・日本人ヨーデラー石井健雄+オートチューン=チキンアタック!CCAC!!

1年間の空白を飛び越え!ついに続編を書くことを決意!

なぜなら!

今年2017年はオートチューンが商品化されて、20周年のアニバーサーリーイヤーだから!
(去年は開発20周年イヤーでした)

という事で、1996年に開発され、1997年に商品化されたオートチューン20年の歴史を、代表曲とともに振り返ってみましょう!

【飛躍編】
1997年に発売された音程補正プラグインソフトウェア「Auto-Tune(以下、オートチューン)」。
その機能の極端な使い方により、人間の声をロボットのようなケロケロボイスに変化させる事ができると、エレクトロニカミュージック界隈が注目。
1998年にはCherがこのケロケロボイス機能を使用した楽曲「Believe」をリリース。
この曲のヒットを機に、オートチューンをボイスエフェクターとして使用するミュージシャンが急増。
そしてに2000年に発売されたDAFT PUNKの「One More Time」がラジオや街中で聞かない日はないくらいに世界中で爆発的ヒット。

以降10年間、エレクトロニカからダンスミュージック、ロック、果てはポップミュージックまで、オートチューンを使ったケロケロボイスは音楽界全体の流行となります。

■Space Cowboy – Across the Sky(2003)

Fatboy Slimの弟分的存在として知られるSpace Cowboyの代表曲。
オートチューンで加工された声はシンセの音と親和性が高く、
歌モノが多いハウスミュージックやビッグビート系にはピッタリですね。

■T-Pain – Buy U A Drank (Shawty Snappin’) ft. Yung Joc(2007)

ケロケロボイスはヒップホップやダンスホールレゲエにも飛び火!
Kanye WestやLil Wayneもこぞって使用し、
2005年にデビューしたT-Painは楽曲の大半にオートチューンを使用。
オートチューンと言えばT-Painと言われるほど、彼の代名詞ともなっています。
こちらは彼の最大ヒット曲「Buy U A Drank」。

■Attack Attack! – Stick Stickly(2008年)

もちろん当たり前のように、ロックやメタル界隈をも席巻!!
既に解散してしまったAttack Attack!は、
激しいスクリームに対し、ケロケロクリーンボーカルを幻想的に絡めたパイオニア。
後にエレクトロニコアといったジャンルに派生していきます。
(が、このAttack Attack!、解散間近の頃にはオートチューンやシンセを使用せず、ゴリゴリのメタルコアになっていましたが)

■The Black Eyed Peas – Boom Boom Pow(2009年)

ここまでくると、もう説明は不要でしょう。
グラミー賞を6度も受賞しているThe Black Eyed Peas。
この「Boom Boom Pow」はBillboard Hot 100で12週連続1位を獲得。

■Ke$ha – TiK ToK(2009年)

上記「Boom Boom Pow」のリリースと同年には、
Ke$haがオートチューンを使用した「Tik Tok」をリリース。
こちらもBillboard Hot 100で10週連続1位を記録。

■Perfume – ポリリズム(2007)

もちろん日本勢も負けてはいません!
元気ロケッツやRAM RIDERといったクリエイター達がこぞってオートチューンを使いはじめます。
そして、いまやトップ音楽プロデューサーとして名高い中田ヤスタカ氏手がけたPerfumeの楽曲により
オートチューンサウンドはこの日本でも一気に市民権を得ます。
「ポリリズム」は誰もが耳にした事がある、日本を代表するケロケロソングですね。

 

00年代中期には比較的ポピュラーなエフェクターとして使用されていたオートチューン。
ですが、00年代後期になるとはその画一的なサウンドに対し否定的な意見も出てきます。
アメリカのロックバンドのDeath Cab for Cutieは、第51回グラミー賞授賞式の壇上でオートチューン使用に抗議のスピーチ。
さらには、ビヨンセの夫であり「世界的にもっとも頂点に君臨するラッパー」ことJay-Zは2009年に「オートチューンの死」という意味の楽曲「D.O.A. (Death of Autotune)」をシングルとして発表。

■JAY-Z – D.O.A(和訳付き)

さらにはこんな問題まで勃発。

■T-ペインがオートチューン制作会社を訴える(bmr.jp/2011年08月)

まあ上記のニュースは音楽制作におけるプライドや想いとはちょっと異なりますが、”なんでもかんでもオトチュンサウンド”の時代から、あらためてミュージシャンやヴォーカリストの持つ実力で音楽に向きおうとするムーブメントが起こり始めます。
とはいえ、2012年のBIGBANG「FANTASTIC BABY」や、2015年のSEKAI NO OWARI「Dragon Night」の様に、オートチューンを使用した楽曲は現在でも多くリリースされていますが、あくまで「楽曲の世界観を表現する為のひとつのツール」という認識での使用は、正しい姿勢のように思えます。

そのような事から、”流行としてのオートチューンサウンド”は落ち着きをみせる事になります。
(いやまぁ、EDMの煽りを受け、もっと商業的に使われている方面もありますが…)

ですが!

やはり、こんな面白い機能を革新的なミュージシャンやアーティスト達が簡単に見捨てる事はなく、
様々なデジタル技術の進化、そしてネットカルチャーの成熟化により、2010年頃から新たな使い方を模索し始める人たちが出現し始めます。

それは…

次回、【「Auto-Tune」がもたらした革新とは(その③)】にて紹介していきます!
あれ?グレゴリーブラザーズや日本人ヨーデル歌手・石井健雄の話は!?
それも全部次回に!4月中旬頃に更新予定!乞うご期待!

(石井)

 

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