映像表現者としてのピエール瀧

10月7日に公開された北野武監督の映画『アウトレイジ最終章』。
裏社会の抗争を描く「アウトレイジ」シリーズの完結編で、邦画界の重要参考人…もとい重鎮俳優たちによる”悪役顔バトル”を見ることができる映画としても話題ですね。
錚々たる出演者の中、特に異彩を放っていたのがピエール瀧氏。


写真は本作の”事の発端”でもある花田役を演じるピエール瀧氏。(公式サイトより引用)

 

 

 

 

 

 

NHKの連続ドラマ「64(ロクヨン)」でシリアスな演技で主役を務めたかと思えば、ディズニー映画「アナと雪の女王」ではコミカルでハートフルな雪だるま役の声優を演じるなど演技の幅は広く、2013年公開の映画「凶悪」における怪演で日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞。
かのタモリ氏からは「軍服が似合う数少ない芸能人」という有り難い称号を与えられるも、俳優業の他にミュージシャン、ラジオパーソナリティー、執筆家、バラエティ番組におけるオモシロおじさんと、その活動域がマルチ過ぎぎて「ピエール瀧って何やってる人?」といった疑問はネット上でも未だに多く見かけます。

本職(?)は、日本のテクノミュージック界のドンこと石野卓球氏と組むテクノバンド「電気グルーヴ」のメンバー。
といっても何か楽器を担当していることもなく、良く言えばパフォーマーといった存在で多くのファンを魅了しています。

■mayday 1998 denki groove(YouTube)

1998年、ドイツの巨大室内レイヴ「MAYDAY」にてケンタウロスの格好で会場を盛り上げる瀧氏。
このきぐるみをドイツに持ち込む際、税関での説明に苦労したとか。

電気グルーヴのファンである筆者でも、「ピエール瀧の存在」を一言で説明するのは難しく、氏が公言している「(電気グルーヴでの)担当は”瀧”です」という表現以外、適切な言葉が見当たらないのですが、実は映像クリエイターとしても数々の作品に携わっています。
今回はそこをフィーチャーしてみましょう。

 

【映像制作会社に勤務していた若手時代】
静岡から上京してきた瀧氏は、電気グルーヴの活動の傍ら、映像制作会社に勤務。

■伊集院光と電気グルーヴ ピエール瀧 映像制作を語る(miyearnZZ Labo)

伊集院光と電気グルーヴ ピエール瀧 映像制作を語る

筆者が学生時代に、氏の著書にて「当時映像制作会社に勤務していた」という情報を得たのですが、その経験談というのが

・某バンドのMV撮影で、砂浜に車を埋める
・コンビニがまだ普及していない当時、夜食の買い出しの命令に、冷凍グラタンを買って帰る

と、なんとも嘘か真かわからない氏特有の冗談かと思っていました。しかし、現在筆者がよくお仕事をさせていただくディレクターが当時その制作会社に勤務しており、若き瀧氏をADとして指導していたそうです。そこで、上記の逸話が本当かどうかを確認してみたところ、

「あったあった!そんな奴だったよ彼は。」とのこと。噂は本当だった!

ちなみに余談ですが、上記の記事にて登場する「宝島のビデオマガジン」というのはおそらく「VOS」の事だと思うのですが、弊社代表がキックファクトリーを創立する前に所属していた制作会社が携わっていたビデオの企画だそうで、当時のバンドやサブカル有名人がその制作会社によく訪れていたそう。「会社に行ったら、片隅で有頂天のケラさんが床で寝ていた」なんて逸話も。

 

【フレイムグラフィックス田中秀幸氏とのタッグ】
映像制作会社勤務の経験を活かし、電気グルーヴにおける映像に関してのイニシアティブは、デビュー当時から氏が取っている場合が多いそうで、自身がMVの監督を担当する事もしばしば。
1995年、メンバーそれぞれのソロ作品をパッケージしたボックスセット「PARKING」では、アートディレクターの田中秀幸氏とタッグを組み、自身が製作したビデオ作品『メカノ』を発表。

■メカノ『WORLD MECHANO TRIANGLE』(YouTube)

田中氏とは、後にVJユニット「プリンストンガ」を結成。

■プリンストンガ(YOUTUBE)

98年頃フジテレビ「Flyer TV」のミニコーナーとして放映されていたビデオサンプリング作品。高校卒業後の進路を悩んでいた筆者を、映像業界へ導いてくれた衝撃作です。

 

【ゲームもプロデュース】
1998年には電気グルーヴがプロデュースした、自ら「ゲームジャンル:クソゲー」を名乗る「グルーヴ地獄V」というゲームをPlayStationで発売。
バイトと呼ばれるミニゲームで稼いだ小銭をガチャガチャに入れ、出てきた音(音源)を収集し、ターンテーブルの付いた簡易シーケンサーで組み合わせることでテクノミュージックの演奏するというゲーム。
筆者はこのゲームをやりこみすぎて、スタートから簡易シーケンサーまでの作業工程を全て記憶してしまい、最終的には画面を見ずに(プレステをラジカセに繋いだだけで)プレイしていました。

■ゲームカタログ2 ピエール瀧 グルーヴ地獄Vの解説(YOUTUBE)

2005年には、ミニゲーム群をメインにした続編『バイトヘル2000』(PSP用ソフト)、2009年には「The Last Guy」(PLAYSTATION3用ソフト)として発売されています。

 

【短編映画の監督も】
2002年には中野裕之氏がプロデュースした短編映画集「SF Short Films」に監督として参加。
タイトルは「県道スター」。氏の独特な世界観を、ノリとテンポとギャグで押し切った衝撃の20分!

■映画 SF Short Films – allcinema

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いまや日本の映画・ドラマ界では欠かせない存在となったピエール瀧氏。

学生時代から30年以上、苦楽をともにしてきた盟友・石野卓球氏は、瀧氏が出演している作品を恥ずかしくて観ることができないとも語っています(苦笑
四半世紀近く彼の活動を見てきたファンにとっても、その顔がスクリーンに映し出されるだけで吹き出してしまうこともありますが…同時に、胸の底から嬉しさも込み上げてきます。

エンターテイメント業界における唯一無二の「瀧」を担当するピエール瀧氏。
映像表現者としての彼を、これからもずっと見続けていきたいと思います。

(石井)

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