更新日: 社員の共感を呼ぶインナーブランディング動画とは?組織の一体感向上に!

企業理念の浸透、社員の一体感の醸成、若手の早期離職といった「組織の内側」に関する課題は、多くの企業にとって重要なテーマです。
こうした組織課題の解決に不可欠な経営戦略が「インナーブランディング」、すなわち企業の価値観を従業員と共有し、組織を内側から強くしていく活動です。そして、そのインナーブランディングを推進する上で、注目されている手法が「インナーブランディング動画」です。これは、従業員の共感を呼び、組織の結束力を高める強力なコミュニケーションツールとなります。
本記事では、企業の経営者や人事担当者の皆様に向けて、インナーブランディング動画の基本から目的、期待できる効果、種類別の費用感などを分かりやすく紹介します。
目次
1.インナーブランディング動画とは?
まずは、インナーブランディング動画の基本的な定義と、なぜ今その重要性が高まっているのかを解説します。
インナーブランディング動画の定義
まず、「インナーブランディング」そのものの意味から確認しましょう。 インナーブランディングとは、企業の理念やビジョン、ブランドが持つ価値を、社外の顧客ではなく「社内の従業員」に向けて発信し、深く理解・共感してもらうことで、組織の内側からブランド価値を高めていく活動を指します。従業員一人ひとりが自社のファンとなり、誇りを持って働くことで、結果的に提供するサービスや製品の質が向上し、企業全体の成長に繋がります。
そのインナーブランディングを推進するために動画に落とし込んだのが、インナーブランディング動画です。 これは、従業員を主な対象とし、企業の理念やビジョン、価値観(MVV:ミッション・ビジョン・バリュー)を共有・浸透させることを目的とした「戦略的な映像コンテンツ」のことです。
なぜ今、インナーブランディング動画が重要なのか?
その背景には、現代企業を取り巻く3つの大きな環境変化があります。
- 働き方の多様化による帰属意識の希薄化
リモートワークの普及で物理的な接点が減少し、従業員同士の連帯感や会社への帰属意識が薄れがちです。動画は、物理的な距離を超えて組織の「心の繋がり」を再構築する役割を果たします。 - Z世代など新しい価値観の台頭
新しい世代の働き手は、給与といった条件だけでなく「企業の社会的存在意義」や「働きがい」を重視します。彼らの共感を呼ぶには、企業の想いをストーリーとして伝える動画が極めて有効です。 - 社内に溢れる情報量の増大
チャットやメールなど、社内には情報が溢れ、重要なメッセージが埋もれがちです。映像と音声で五感に訴える動画は、記憶に残りやすく、感情を伴ってメッセージを深く刻み込むことができます。
2.インナーブランディング動画の4つの目的
インナーブランディング動画の施策を成功させるには、まず「何のために作るのか」という目的を明確にすることが不可欠です。貴社の課題に合わせて、目的を設定しましょう。
企業理念・MVVの浸透
最も基本的な目的です。「顧客への価値提供」「社会貢献」といった抽象的な企業理念を、具体的な社員の活躍やお客様の声といったストーリーに落とし込むことで、従業員が理念を「自分ゴト」として捉えられるようになります。これにより、全従業員の判断基準や行動のベクトルが揃い、組織としての一貫性が生まれます。
従業員エンゲージメントの向上
エンゲージメントとは、従業員の「会社への貢献意欲」や「仕事への熱意」を指します。動画を通じて、自社の社会的価値や共に働く仲間の情熱に触れることで、従業員は自らの仕事に誇りを持ち、主体的に業務に取り組むようになります。
行動規範・企業文化の醸成
コンプライアンス遵守やダイバーシティ&インクルージョンの推進など、全社で徹底すべきルールや大切にしたい文化を醸成する上でも動画は有効です。テキストで伝えるよりも、具体的なシーンを映像で見せることで、従業員の深い理解を促し、行動変容に繋げやすくなります。
社内コミュニケーションの活性化
普段は関わりのない他部署の取り組みや、遠隔地の拠点で働く仲間の姿を動画で紹介することで、相互理解が深まります。「同じ目標に向かうチーム」としての一体感が生まれ、部署や拠点の壁を超えた円滑な連携が促進されます。
3.インナーブランディング動画がもたらす3つの効果
目的を持ってインナーブランディング動画を導入することで、企業にはどのようなポジティブな変化が生まれるのでしょうか。その効果は社内だけに留まりません。
【社内への効果】一体感の醸成と離職率の改善
従業員のエンゲージメントが高まることで、組織全体の一体感が醸成されます。自分の仕事や会社に誇りを持つ従業員は、困難な状況でも主体的に貢献しようとします。結果として、従業員満足度が向上し、優秀な人材の流出を防ぐ、つまり離職率の改善に直結します。
【社外への効果】採用力の強化とミスマッチの低減
従業員に向けて誠実に作られた動画は、企業のリアルな文化や働く人々の情熱を映し出す「本物のコンテンツ」です。これを採用サイトやSNSで公開することで、求職者に対して社風や働きがいといった「生きた情報」を届けることができます。これにより、自社の価値観に共感する優秀な人材を惹きつけ、入社後の「こんなはずではなかった」というミスマッチを大幅に減らす効果が期待できます。
【事業への効果】生産性と顧客満足度の向上
従業員のエンゲージメントと企業の業績には、強い相関関係があることが知られています。エンゲージメントの高い従業員は、より質の高いサービスや製品を生み出そうと努力します。その結果、顧客満足度が向上し、企業の売上や利益といった事業成果にも繋がります。インナーブランディングは、巡り巡って事業成長に直結する重要な「投資」なのです。
4.種類・費用・制作体制を徹底比較!
ここからは、動画制作の具体的な検討事項を解説します。
【種類別】動画の企画、費用相場、制作体制の比較
動画の種類 | 企画のポイント | 内製 | 制作体制解説 |
費用目安 |
トップメッセージ | 経営者の熱意や人柄が伝わるよう、演出やロケーションを工夫する。 | × |
外注推奨 経営者のメッセージの重要性を鑑み、プロの演出と技術で品質を担保すべきです。 |
50~200万円 |
社員インタビュー | 様々な部署・役職の社員に登場してもらい、多様な働き方や価値観を示す。 | △ |
内製・外注どちらも可 内製なら自然な表情を引き出しやすく、外注なら構成力でメッセージを際立たせることができます。 |
30~150万円 |
プロジェクト紹介 | 困難を乗り越えたプロセスやチームワークをドキュメンタリータッチで描き、感動を呼ぶ。 | × |
外注推奨 複数の要素をまとめ、感動的なストーリーに仕上げるには、プロの構成力と編集技術が求められます。 |
80~300万円 |
企業文化紹介 | オフィスツアーやイベントの様子を通じ、テキストでは伝わらない「空気感」を伝える。 | △ |
内製・外注どちらも可 社員自らが撮影することで、リアルで親近感のある「空気感」が伝わりやすくなります。より魅力的な文化を発信にするには、外注がおすすめです。 |
40~150万円 |
社内イベント・表彰 | イベントの一体感や受賞者の喜びを感動的に演出し、参加できなかった社員にも熱量を伝える。 | ◯ |
内製・外注どちらも可 簡単なダイジェストやアーカイブとして記録しておくための目的なら内製、イベントの格式や感動を伝えたい場合は外注が適しています。 |
60~250万円 |
※費用は動画の尺、撮影日数、カメラ台数、出演者、CGの有無などによって大きく変動します。
内製か?外注か?メリット・デメリットを比較
比較軸 |
内製(自社制作) |
外注(制作会社依頼) |
コスト |
低く抑えられる傾向。 |
高くなる傾向。 |
スピード |
社内調整のみでスピーディ。 |
複数社との調整で時間がかかる。 |
クオリティ |
専門知識や機材に依存する。 |
プロ品質が担保される。 |
ノウハウ |
制作ノウハウが社内に蓄積される。 |
蓄積されにくい。 |
失敗しない制作会社(外注先)選びの3つのポイント
✅ インナーブランディング領域での実績
BtoCの広告映像とインナー向けの映像では、作り方のノウハウが全く異なります。企業の課題解決に繋がる動画制作の実績が豊富かを確認しましょう。
✅ 企画提案力
単に要望通りに作るだけでなく、企業の課題を深く理解し、より効果的な企画や表現を提案してくれる会社を選びましょう。
✅ コミュニケーションの円滑さ
担当者との相性も重要です。企業の想いを正確に汲み取り、二人三脚でプロジェクトを進めてくれるパートナーを見つけましょう。
5.効果を最大化する!動画と組み合わせたいインナーブランディング施策
動画は、他の施策と組み合わせることで、その効果を飛躍的に高めることができます。
動画 × 社内イベント
全社総会や表彰式といった社内イベントは、動画活用の絶好の機会です。イベントの冒頭で期待感を煽るオープニングムービーを流せば、参加者の心を一気に掴み、一体感を醸成できます。また、イベントの感動的なシーンや受賞者の喜びの声をまとめたダイジェスト動画を後日配信することで、参加者は感動を再体験でき、参加できなかった社員にもイベントの熱量を伝えることができます。これにより、イベントの効果を一過性のもので終わらせず、資産として持続させることが可能になります。
動画 × 社内SNS・チャットツール
制作した動画を社内SNSやビジネスチャットに投稿し、感想のコメントや「いいね」といったリアクションを促しましょう。動画を起点とした気軽なコミュニケーションは、部署や役職を超えた横の繋がりを生み出します。さらに、動画の内容に関連したテーマ(例:「私たちのMVVを体現した瞬間」など)でディスカッションのスレッドを立てることで、単なる視聴で終わりがちな動画コンテンツを、全社的な対話のきっかけへと発展させることができます。
動画 × 1on1ミーティング
全社向けに配信された理念浸透動画やトップメッセージ動画について、上司と部下の1on1ミーティングで対話の時間を持つのも非常に効果的です。「動画を見て何を感じたか?」「この理念を、あなたの日々の業務にどう活かせると思うか?」といった問いを通じて、全社的なメッセージを個人の業務レベルにまで落とし込み、理念の「自分ゴト化」を強力に促します。
動画 × 評価制度
企業理念やバリューを体現した行動を評価する制度と、動画を連動させることも有効な手段です。例えば、四半期ごとに理念を最も体現した社員を表彰し、その功績や仕事への向き合い方をインタビュー動画で紹介します。これにより、表彰された社員のモチベーションが向上するだけでなく、他の社員にとっても「会社が求める具体的な行動」が明確なロールモデルとして示され、組織全体の行動変容を促進する効果が期待できます。
6.まとめ
本記事では、インナーブランディング動画の目的から効果、具体的な制作方法、そして効果を最大化するための他施策との連携までを解説しました。
インナーブランディング動画は、もはや単なる「社内向けの映像」ではありません。それは、多様な働き方が広がる現代において、組織の一体感を醸成し、従業員一人ひとりのエンゲージメントを高め、ひいては企業の持続的な成長を支える、不可欠な経営ツールです。
ぜひ今回の記事を参考に、インナーブランディングを動画の活用で推進させていきましょう。
7.Q&A
Q1. インナーブランディング動画とは、どのような動画ですか?
A1. 主に、自社の従業員を対象として、企業の理念やビジョンを共有し、会社への誇りや愛着を深めてもらうことを目的とした映像コンテンツのことです。
Q2. なぜ今、インナーブランディング動画が重要視されているのですか?
A2. リモートワークの普及で社員同士の繋がりが希薄になったことや、働きがいを重視する若い世代が増えたことなどから、映像を通じて組織の一体感を醸成する必要性が高まっているためです。
Q3. インナーブランディング動画を導入する大きなメリットは何ですか?
A3. 社員エンゲージメント(仕事への熱意)が高まり、組織の一体感が生まれることで、最終的に「離職率の改善」に繋がることが大きなメリットです。また、採用活動にも活用できます。
Q4. インナーブランディング動画には、具体的にどのような種類がありますか?
A4. 経営者が想いを語る「トップメッセージ動画」、社員の働き方を紹介する「社員インタビュー動画」、新入社員向けの「企業文化紹介動画」など、様々な種類があります。
Q5. 動画制作は、自社で行う(内製)べきですか?それともプロに依頼(外注)すべきですか?
A5. 動画の種類によります。例えば、リアルな空気感を伝えたい「企業文化紹介動画」は内製向きですが、経営者の重要なメッセージを伝える「トップメッセージ動画」は、品質を担保するためにプロへの外注が推奨されます。
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