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更新日: 企業がTikTokを始めるべき【3つの判断基準】と戦略的な企業アカウントの作り方

「TikTokは本当に自社でやるべきか?」と悩むSNS担当者様は少なくありません。ユーザー層が広がり、企業のマーケティングツールとして無視できない存在となった一方、戦略なしでは成果を出すのが難しいのも事実です。この記事では企業がTikTokを始めるべきか見極める「3つの判断基準」TikTokで企業アカウントを成功させるための「戦略的なアカウントの作り方」について紹介します。

1.判断基準①:届けたい相手(ターゲット)はTikTokにいるか?

最も基本的かつ重要な問いです。どれだけ素晴らしいコンテンツを作っても、届けたい相手がいなければ意味がありません。

ユーザー層とターゲティング

アプローチしたいターゲット層がTikTokのユーザー層と合致しているかどうかが、重要な要素になります。総務省の調査によると、年代別のTikTok利用率は以下の通りです。

10代

70.0%

20代

52.1%

30代

32.0%

40代

26.8%

50代

25.4%

60代

13.0%

このデータから、10代から30代の利用率が高く、比較的若い世代へのアプローチが効果的であると言えます。この調査は令和5年度のものであり、現在の全体的な利用率はさらに上昇していると推測されます。

ペルソナを考える:ターゲットはTikTokを「どう」使っているか?

次に、「自社の商品・サービスを届けたい顧客(ペルソナ)は、TikTokでどのような情報を、どのような気持ちで探しているか?」を具体的に想像してみましょう。

例えば、20代後半の女性向けスキンケア商品を扱う企業なら、ターゲットは「新作コスメのリアルなレビューを探しているかもしれない」「美容系インフルエンサーのおすすめを参考にしたいと思っているかも」と仮説を立てられます。BtoB企業であっても同様です。「自社の業務効率化ツールを導入してほしい」と考えるなら、ターゲットである企業の担当者は、「同業他社の面白い取り組みを知りたい」「仕事の息抜きに業界の”あるある”ネタを見て共感したい」といった動機でTikTokを利用しているかもしれません。

重要なのは、ターゲットがTikTokを「娯楽の場」として利用していることを忘れないことです。彼らは仕事の課題解決のためにTikTokを開いているわけではありません。その文脈の中で、自社がどのように接点を持てるかを考える必要があります。

2.判断基準②:伝えたいコト(メッセージ)は動画と相性が良いか?

TikTokの主役は、言うまでもなく「ショート動画」です。自社が伝えたいメッセージが、このフォーマットの特性とマッチしているかを見極めましょう。

動画で魅力が伝わるか:五感に訴えるメッセージ

テキストや静止画だけでは伝わりにくい価値は、動画にすることで何倍にも増幅されます。

商品の使用感や質感 アパレルなら生地のドレープ感、コスメならテクスチャーの伸びの良さ。
サービスの雰囲気 飲食店なら調理のライブ感やスタッフの活気、ホテルの客室なら窓から見える景色や空間の広がり。
社員の人柄や企業の文化 採用活動であれば、オフィスの雰囲気や社員同士の和気あいあいとしたやり取り。

    こうした「五感に訴えかける情報」や「空気感」は、ショート動画との相性が抜群です。自社が伝えたい魅力が、こうした要素を含んでいるかを考えてみてください。

    「広告感」を消せるか:価値提供への変換

    TikTokユーザーは、巧妙な広告をすぐに見抜きます。企業からの一方的な宣伝や自慢話は、瞬時にスキップされてしまうでしょう。

    そこで重要になるのが、伝えたいメッセージを「ユーザーにとって価値のあるコンテンツ」に変換する視点です。

    宣伝 → 役立つ情報 「この商品はすごいんです!」ではなく、「この商品を使うと、あなたの〇〇な悩みがこう解決します」という見せ方に。
    宣伝 → 面白いエンタメ 商品やサービスを使い、業界の”あるある”ネタやコメディ仕立てのショートドラマを作成する。
    宣伝 → 共感できるストーリー 商品開発の裏側や、創業者の想いなどをドキュメンタリー風に伝える。

    自社のメッセージが、こうした「お役立ち」「エンタメ」「共感」といった切り口に変換可能かどうかは、極めて重要な判断材料です。

    【具体例】業種・業界別の相性チェック

    TikTokと企業の相性は業種・業界によって異なりますが、ブランディングや採用目的であれば、高い効果が期待できます。自社の業種・業界がTikTokと相性が良いか、以下の例を参考に確認してみましょう。

    ⭕️ TikTokとの相性が良い業種・業界

    これらの業界は、商材やサービスの魅力を「視覚的」「感覚的」に伝えやすいため、TikTokとの相性が非常に良いと言えます。

    飲食・食品業界 調理工程のシズル感(肉が焼ける音、チーズがとろける様子)、美しい盛り付け、アレンジレシピの紹介動画は、ユーザーの食欲を直接刺激する「飯テロ動画」として絶大な人気を誇ります。スタッフの明るい人柄や、お店の活気ある雰囲気を伝えることで、「この人に会いたい」「このお店に行ってみたい」という来店動機にも繋がります。
    美容・アパレル業界 メイクのHow-to動画や、様々な体型のモデルが登場する着回しコーディネート紹介は、ユーザーが「自分も真似したい」と思える実用的なコンテンツとして価値があります。特に、商品の使用感をリアルに伝えるビフォーアフター動画は、テキストの説明以上に説得力を持ちます。
    観光・レジャー・不動産業界 ホテルの豪華な客室や窓からの絶景を紹介するルームツアー、テーマパークのアトラクションの臨場感、デザイン性の高い物件のルームツアー動画は、ユーザーに「疑似体験」を提供します。これにより、「次の旅行はここにしよう」「こんな部屋に住んでみたい」という具体的な検討段階へと引き上げることができます。
    人材・教育業界 「社員の一日」や「ユニークな福利厚生」を紹介する動画は、求職者にとって企業のリアルな雰囲気を知る貴重な情報源となり、採用ブランディングに大きく貢献します。また、塾や資格スクールなどが、専門知識を「1分でわかる〇〇」のように分かりやすく解説する「お役立ちコンテンツ」も人気が高く、専門家としての信頼獲得に繋がります。

    🔼 活用のために工夫が必要な業種・業界

    一見するとTikTokと相性が悪そうに見える業界でも、視点を変え、切り口を工夫することで大きな成功を収めている事例は数多くあります。重要なのは「何を」見せるかではなく、「どう」見せるかです。

    専門性の高いBtoB企業
    (製造業、ITインフラなど)

    【課題】

    商材そのもの(例:精密な工業部品、サーバー機器)の魅力を一般ユーザーに伝えるのが非常に難しい。

    【工夫のポイント】

    商材ではなく「人」や「技術」にフォーカスします。例えば、「熟練職人の神ワザ」「巨大な機械が動く製造工程のダイナミックさ」「業界でしか通用しない”あるある”ネタ」など、普段見ることのできない舞台裏をエンターテインメントとして見せるのです。これにより、企業の技術力の高さをアピールしたり、親しみやすさを感じさせたりすることができ、結果的に採用応募の増加や、業界内での認知度向上に繋がります。

    規制が厳しい業界
    (金融、医療、法律など)

    【課題】

    薬機法、金融商品取引法、弁護士法など、遵守すべき法律やガイドラインが多く、表現に厳しい制約がある。不正確な情報や誤解を招く表現は企業の信頼を大きく損なうリスクがあります。

    【工夫のポイント】

    無理にトレンドのダンスなどを追う必要はありません。**「信頼できる専門家」**という立ち位置を確立することに注力します。「1分でわかるNISAの仕組み」「弁護士が教える、トラブルに巻き込まれた時の対処法」のように、複雑で難しい情報を、図解や寸劇などを交えて極限まで分かりやすく解説する「お役立ちコンテンツ」に特化します。誠実な情報発信を続けることで、ユーザーからの信頼を獲得し、ブランディングを確立できます。

    高価格帯の
    ラグジュリーブランド

    【課題】

    TikTokの主流である、手軽でカジュアルな雰囲気が、ブランドが長年かけて築き上げてきた高級で洗練された世界観を損なってしまうのではないかという懸念。

    【工夫のポイント】

    世界観を妥協せず、クオリティに徹底的にこだわることが鍵です。商品の背景にあるブランドの歴史や哲学、卓越した技術を持つ職人へのフォーカス、インスピレーションの源となったアートや自然などを、まるでショートフィルムのような芸術性の高い映像で表現します。これにより、価格の背景にある「価値」を伝え、新たな若い世代のファンにブランドの真髄を届けます。

    3.判断基準③:続けられる体制(リソース)はあるか?

    TikTok運用は、短距離走ではなくマラソンです。最初の数本でバズることもありますが、多くの場合は地道な継続が成果に繋がります。

    運用の工数を正しく理解する

    TikTokの動画は短いですが、その裏には多くの作業工程が存在します。

    企画 トレンドのリサーチ、自社のメッセージとの掛け合わせ、構成案の作成
    撮影 場所の確保、機材の準備、演者のアサイン
    編集 カット、テロップ挿入、BGM選定、エフェクト追加
    投稿・分析

    ハッシュタグ選定、投稿文作成、投稿後のコメント対応、インサイト機能を使った数値分析と改善点の洗い出し

    これらの工程を誰が、どのくらいの時間をかけて行うのか。片手間でできるものではないことを、始める前に社内で共通認識として持つことが不可欠です。

    継続的なコミットメント

    「3ヶ月運用してみて、成果が出なければやめる」というスタンスでは、成功は難しいでしょう。アルゴリズムに評価され、アカウントが成長し始めるまでには、少なくとも半年から1年程度の期間を見込むべきです。短期的な再生回数や「いいね」の数に一喜一憂せず、中長期的な視点で運用を続けられる社内の合意形成や、経営層の理解が求められます。

    4.成功に導く!戦略的な企業TikTokアカウントの作り方

    第1部の判断基準をクリアし、「自社はTikTokに挑戦すべきだ」と決断したなら、次はいよいよ成功確率を最大限に高めるための「戦略設計」です。思いつきで動画投稿を始めるのではなく、以下の4つのステップに沿って、アカウントの強固な土台を築き上げていきましょう。

    STEP1:目的(ゴール)を明確にする

    まず、「何のためにTikTokを運用するのか?」という最終的なゴールを明確に言語化します。このゴールが、今後のあらゆる意思決定のコンパスとなります。

    ✅ KGI(Key Goal Indicator / 重要目標達成指標)の設定

    ビジネスにおける最終的な目標を置きます。これは定性的でも構いませんが、具体的であるほど良いでしょう。

    • 例1(採用):ミスマッチの少ない、自社のカルチャーに共感する人材からの応募を増やす。
    • 例2(BtoCメーカー):Z世代におけるブランド認知度No.1を獲得する。
    • 例3(ECサイト):TikTok経由でのECサイトの売上を全体の10%にする。

    ✅ KPI(Key Performance Indicator / 重要業績評価指標)の設定

    KGIを達成するために、日々の運用で追いかけるべき具体的な数値目標を立てます。

    • 例1(採用)の場合:プロフィール閲覧数 月間〇〇件、採用サイトへのクリック数 月間〇〇件
    • 例2(BtoCメーカー)の場合:フォロワー数 〇〇人、月間総再生回数 〇〇万回、指名検索数 〇〇%アップ
    • 例3(ECサイト)の場合:投稿からのウェブサイトクリック数 〇〇件、エンゲージメント率 〇%以上

    目的が曖昧なままでは、「バズったけど、結局何も残らなかった」という事態に陥りがちです。ビジネス上のゴールを最初に定めることが、戦略的なアカウント運用の第一歩です。

    STEP2:アカウントのコンセプトを設計する

    ゴールが定まったら、それを達成するためのアカウントの「設計図」であるコンセプトを固めます。良いコンセプトは、発信する情報に一貫性を与え、ユーザーに「このアカウントをフォローする理由」を明確に示します。

    以下の3つの要素を定義することで、コンセプトは具体化されます。

    1 誰に
    (ターゲット)
    ペルソナをより具体的に深掘りします。年齢や性別だけでなく、価値観、ライフスタイル、抱えている悩みまで想像します。
    2 何を
    (提供価値)
    そのターゲットに対して、自社が提供できる独自の価値は何かを定義します。「面白い」「役に立つ」「感動する」「応援したくなる」など、ユーザーが何を得られるのかを明確にします。
    3 どう見せるか
    (トーン&マナー)
    アカウントを「一人の人物」として捉え、そのキャラクターを設定します。親しみやすい友達のような存在なのか、頼れる専門家なのか、ユニークで面白いキャラクターなのか。この設定が、動画の雰囲気や言葉遣いを統一します。

    【コンセプト設計シート(例)】

    ◯ 設定例(地方の老舗工具メーカー) 

    •  KGI:若手職人の採用応募者数を前年比200%にする
    • 誰に:ものづくりに興味はあるが、伝統的な職人の世界に堅いイメージを持つ10代〜20代の若者
    • 何を:熟練の職人技のカッコよさと、意外と面白い職人たちの素顔
    • どう見せるか:孫が、口下手だけどスゴイ技を持つおじいちゃん(職人)を尊敬の念と愛情を込めて紹介するような、温かくて少しユーモラスなトーン

    このようにコンセプトを言語化することで、チーム内での認識のズレを防ぎ、ブレないアカウント運用が可能になります。

    STEP3:コンテンツの方向性を決める

    コンセプトという羅針盤を手に入れたら、いよいよ具体的なコンテンツの企画です。毎回ゼロから考えるのではなく、ある程度の「投稿の型(フォーマット)」を決めておくと、効率的に質の高いコンテンツを量産できます。

    コンセプトに基づき、以下のようなコンテンツの切り口を組み合わせるのが一般的です。

    お役立ち・ノハウ系 ユーザーの悩みや疑問を解決する情報を提供します。専門知識を分かりやすく伝えることで、アカウントの信頼性や権威性が高まります。
    (例:不動産会社の「良い物件の見分け方」、料理研究家の「時短レシピ」)
    舞台裏・社員登場系 商品開発の裏側や、普段は見られないオフィスの様子、社員の日常などを紹介します。企業の透明性を伝え、ユーザーに親近感や信頼感を持ってもらう効果があります。(例:メーカーの開発秘話、IT企業のユニークな福利厚生紹介)
    あるある・共感系 特定の職業やシチュエーションを経験した人なら誰もが「わかる!」と頷いてしまうようなネタを動画にします。ユーザーとの心理的な距離を縮め、「いいね」やコメント、シェアを促進しやすいのが特徴です。
    商品・サービス紹介系 単なる機能説明ではなく、ユーザーがその商品を使うことで「どんな良い未来が待っているか」をストーリー仕立てで見せます。意外な使い方や、複数の商品を組み合わせた活用法なども喜ばれます。

    重要なのは、これらの型を参考にしつつ、STEP2で設計した**「自社ならではのコンセプト」**というフィルターを通して、オリジナリティのある企画に昇華させることです。競合アカウントをリサーチし、どのようなコンテンツが伸びているかを分析することも非常に有効ですが、丸パクリではなく、自社の強みやキャラクター性をどう加えるかを常に考えましょう。

    5.まとめ

    企業のTikTok活用は、もはや一部の先進的な企業だけのものではなく、あらゆる業界にとって無視できないマーケティングチャネルとなりました。しかし、そのポテンシャルを最大限に引き出すためには、戦略なき参入は避けるべきです。

    本記事でご紹介した、3つの判断基準(ターゲット・メッセージ・リソース)で、まずは自社の現在地とTikTokとの相性を冷静に評価してください。そして、もし挑戦すると決めたならば、戦略的な作り方に沿って、ユーザーから愛され、かつビジネスの成果に繋がるアカウントを丁寧に設計してみてください。

    重要なのは、最初から完璧な100点を目指すことではありません。明確な戦略を持ち、ユーザーの反応を見ながら改善を繰り返す。その地道な「継続」こそが、TikTok活用の成否を分ける最大の鍵となります。

    6.Q&A

    Q1. TikTokは若者向けというイメージですが、本当にうちの会社でも大丈夫?

    A1. 問題ありません。ユーザーの平均年齢は約36歳と幅広く、30代以上の利用者も多いため、多くの企業にとってターゲット層が存在します。

    Q2. BtoB企業なのでTikTokは向いていないのでは?

    A2. いいえ、活用できます。「人」や「技術」に焦点を当て、専門知識の解説や製造工程の紹介などで成功しているBtoB企業は多数あります。

    Q3. 広告っぽい動画はダメなら、何を発信すればいい?

    A3. ユーザーの役に立つ「お役立ち情報」、普段見せない「会社の舞台裏」、思わず笑ってしまう「あるあるネタ」などが効果的です。

    Q4. アカウントを成功させるために、まず何から始めるべき?

    A4. 動画投稿の前に、「何のためにやるのか(目的)」と「誰に何を伝えるか(コンセプト)」という戦略を明確にすることが最も重要です。

    Q5. 金融や医療など、規制が厳しい業界でも活用できますか?

    A5. 可能です。流行を追うより「信頼できる専門家」として、難しい情報を分かりやすく解説する「お役立ちコンテンツ」に特化するのが成功の鍵です。

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