更新日: 動画制作会社の選び方!発注前に確認すべきチェックリスト
動画は企業のブランディングやプロモーションにおいて、現在重要なツールとなっていますが、外注時には「費用対効果」「品質」「納期」など多くの検討事項が伴います。制作会社選びに失敗すると、時間と予算が無駄になり、企業イメージを損なうリスクがあります。本記事は、こうした不安を解消するため、優良な動画制作会社・映像制作会社を適切に見極めるための具体的な「チェックリスト」を解説します。制作前の準備から相見積もりの比較、契約条件の確認まで、失敗を回避し、貴社の目的達成をサポートする最適なビジネスパートナーを見つけるためのポイントをステップごとに紹介します。
目次
1.動画制作を成功へ導く【発注前に確認すべき3項目】

制作会社に「良い提案」をしてもらうためには、発注側である貴社自身が、依頼内容を明確にしておくことが推奨されます。事前の準備が不十分だと、制作会社との間に認識のズレが生じ、結果的にクオリティの低い動画になってしまう可能性があります。まずは、制作会社へのコンタクトを取る前に、以下の3項目を明確にしましょう。
【確認1】動画制作の「目的」と「KPI」を明確にする
動画はあくまで「課題を解決するための手段」です。単に「かっこいい動画が欲しい」ではなく、「この動画で何を実現したいのか」という目的を具体的に設定する必要があります。
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目的の例 |
設定すべきKPI(目標)の例 |
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認知度向上 |
YouTubeでの視聴回数、リーチ数、SNSでのシェア率 |
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採用活動 |
採用ページへの遷移率、応募者数、会社説明会への参加率 |
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売上向上 |
動画からの商品購入(CV)率、問い合わせ件数、資料ダウンロード数 |
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ブランディング |
視聴者のブランド好意度調査、エンゲージメント率 |
✅ チェック項目
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【確認2】ターゲットとコンテンツの方向性を定める
目的を達成するためには、「誰に」「何を」伝えるかが重要です。制作会社に依頼する際、抽象的なイメージ(例:「感動的な雰囲気で」「スタイリッシュに」)だけを伝えても、制作側の解釈によって完成物が大きくブレてしまう可能性があります。
ターゲットの具体化(ペルソナ設定)
動画を届けたいターゲット層の年齢、職業、抱えている課題、動画を視聴する場面(通勤中、自宅など)を具体的に設定しましょう。
参考動画の準備
言葉で説明しにくいニュアンスを共有するために、理想に近い他社の動画や、絶対に避けたいNG例を事前にピックアップしておくことは有効な手段の一つです。これは、制作会社の企画力を測る上でも役立ちます。
✅ チェック項目
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【確認3】予算と納期の目安を設定する
予算や納期を明確にしないまま制作会社に相談すると、会社側も提案の幅を絞り込めず、結果として非効率なやり取りが発生する可能性があります。
予算の提示は推奨される
予算を隠すことは、最適な提案を引き出す上で避けるべきでしょう。予算を事前に提示することで、制作会社はその範囲内で最大限のクオリティを実現するための企画(撮影規模、アニメーション技術など)を提案しやすくなります。
納期は余裕を持って
一般的な企業VPでも1ヶ月〜3ヶ月程度の制作期間が必要となることが多いため、公開したい日から逆算して、余裕を持ったスケジュールを設定することが推奨されます。急ぎの案件の場合、特急料金が発生する可能性があることも念頭に置く必要があります。
✅ チェック項目
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2.優良な制作会社を見分ける5つの視点

事前の準備が整ったら、いよいよ制作会社の選定に移ります。ここでは、提案力、技術力、信頼性を総合的に評価するための5つの重要なチェックリストをご紹介します。
【視点1】実績と得意分野:自社のニーズと合致しているか
制作会社のWebサイトにある実績(ポートフォリオ)は、彼らの実力とセンスを判断するための重要な情報源の一つです。
制作実績の「量」と「質」
- 「量」が示すもの:制作実績の量が多い会社は、それだけ多くの企業の課題解決に貢献し、様々な業界のノウハウを蓄積している傾向にあると考えられます。
- 「質」が示すもの:動画の撮影技術、デザインセンス、編集のテンポなどが、貴社の目指すブランドイメージやクオリティ基準を満たしているかを確認します。
自社が依頼したいジャンルの実績があるか
すべての制作会社が、すべての動画ジャンルに強いわけではありません。
- 採用動画:企業の理念や文化を深く理解し、求職者に響く構成力が求められます。
- サービス紹介動画(アニメーション):複雑なサービスを分かりやすく表現する構成力とデザイン力が求められます。
- 実写CM:キャスティングやロケハン、大規模な撮影ノウハウが求められます。
依頼したいジャンル(例:BtoBの製品紹介アニメーション)に特化した実績があるかどうかを確認することが推奨されます。
納品後の運用・マーケティング知識の有無
ただ作るだけでなく、動画をどこで、どう活用して成果を出すかという「公開後」の視点を持っているかが重要です。YouTubeアナリティクス、動画広告の運用、効果測定などの知見があるかを確認しましょう。
✅ チェック項目
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【視点2】企画・提案力:目的達成への道筋を示せるか
質の高い制作会社は、ただの「作業代行業者」ではなく、貴社の課題解決を担う「企画パートナー」となり得ます。
課題解決型の提案か
設定した目的を達成するために「なぜその企画が良いのか」という論理的な根拠を明確に説明できるかを評価します。
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望ましくない提案例 |
より良い提案例 |
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「最近流行りの3Dアニメーションで、とにかくスタイリッシュに作りましょう」 |
「ターゲット層である20代女性はInstagram経由での情報収集が主であるため、15秒以内の縦型フォーマットで、共感性を高めるストーリーを構築することが効果的です」 |
課題(例:製品の5つの強みを伝えきれていない)に対して、動画の構成案がどのように貢献するのか、その道筋を明確にできるかが重要です。
見積書に内訳の「明確さ」があるか
見積書に「動画制作費:一式 200万円」としか書かれていない会社は注意が必要です。質の高い会社は、以下の内訳を細かく提示する傾向があります。内訳が明確であれば、どこを削れば予算内に収まるかという交渉もスムーズになります。
- 人件費:ディレクター、カメラマン、編集者、プロデューサーの稼働時間と単価
- 機材費:使用するカメラ、照明、録音機材
- 諸経費:交通費、ロケ地使用料、ナレーター・モデルのキャスティング費用
- 権利費:使用するBGMや素材の権利処理費用
✅ チェック項目
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【視点3】コミュニケーションと信頼性:制作をスムーズに進める要素
動画制作は、企画から納品まで制作会社と密に連携を取りながら進める共同作業です。コミュニケーション能力は、最終的な動画のクオリティに直結します。
担当者との相性とレスポンスの速さ
打ち合わせの際、担当者が貴社の要望を正確に「聞き取る能力」と、専門用語を避け、分かりやすく「説明する能力」を持っているかを確認しましょう。
また、メールや電話のレスポンスの速さは重要な判断基準となります。返信が遅い会社は、制作進行においても遅延のリスクが高い可能性があります。
制作フローと納期管理の具体性
制作開始から納品までの工程(企画、絵コンテ作成、撮影、編集初稿、最終修正)において、各フェーズの具体的な完了期限を明確に提示できるかを確認します。これにより、予期せぬスケジュールの遅れを防ぐことができます。
✅ チェック項目
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3.相見積もりを最大限に活用!複数の動画制作会社を比較する際の秘訣

優良な制作会社を見つける有効な方法の一つとして、「相見積もり」を取ることが挙げられます。しかし、単に2社や3社の合計金額を比べるだけでは意味がありません。相見積もりを最大限に活用し、費用対効果の高いパートナーを見つけるためのポイントを解説します。
相見積もりは「3社程度」に絞るのがベストな理由
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社数 |
メリット |
デメリット |
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1社 |
担当者の工数が最も少ない |
提案内容や価格の適正を判断する基準がない |
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2社 |
価格の比較はできるが、企画の良し悪しを判断しにくい |
企画の比較材料が少なく、判断が偏りがち |
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3社 |
市場価格帯、得意ジャンル、提案力を総合的に比較できる |
担当者の工数とバランスが取りやすい上限数 |
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4社以上 |
網羅的な情報が得られる |
提案書や打ち合わせ対応で担当者の工数が大幅に増加し、本業に支障をきたす可能性がある |
相見積もりは3社程度に絞るのが効果的であると考えられます。この際、意図的に選ぶのがポイントです。例えば、「大手で安心感のある会社(高価格帯)」「自社と同業種の実績が多い会社(専門性)」「価格競争力のある会社(中小・フリーランス系)」のように、選定基準を分散させることで、市場全体の価格帯や提案の幅を効率よく把握できるでしょう。
見積書を徹底比較!費用対効果を見極める3つのポイント
相見積もりで最も重要なのは、「最も安かったから選ぶ」という判断をしないことです。高額でも目的を達成できれば費用対効果は高く、安くても目的を達成できなければ無駄な出費となる可能性があります。
ポイント① 見積項目ごとの「企画」の妥当性を比較する
各社から提出された見積書を並べ、同じ項目について「なぜその費用が必要なのか」を提案書と照らし合わせます。
▶︎例(企画費)
| A社 | 30万円 |
| 念なターゲット調査、競合分析、綿密な絵コンテ作成まで含むため、企画のブレが少ない。 | |
| B社 | 10万円 |
| 簡単な構成案作成のみで、制作着手後に大幅な修正(追加費用)が発生するリスクが高い。 |
結論:企画費が高くても、その後の再調整や修正が減り、納品物のクオリティが担保されるならA社の方が費用対効果は高く、追加の費用も発生せずに、満足度の高い動画が完成する可能性が高いです。
ポイント② 人件費(工数)の配分をチェックする
特に人件費は、動画のクオリティに直結する要素の一つです。
- ディレクター:企画の核となる人物。ディレクションの工数が適正か。
- 編集者:編集にかける工数が少ない場合、複雑なテロップやエフェクトが省略される可能性があります。
実績豊富なプロが十分な時間を確保しているかをチェックし、単価が高くてもプロが時間をかけることで結果的に高品質な動画が得られるか判断することが推奨されます。
ポイント③ 諸経費のあいまいな記載がないか
「諸経費一式」「雑費」など、内訳が不明瞭な項目が多い会社は、後から追加費用が発生するリスクがあるため注意が必要です。交通費や消耗品費など、一つ一つ丁寧に確認しましょう。
✅ チェック項目
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契約条件と追加費用の明確化チェックリスト
トラブルの多くは、「契約時の認識のズレ」から発生します。制作がスタートする前に、以下の2点について、各社と明確な合意形成を図っておきましょう。
修正対応の範囲と回数
「修正2回まで無料」という契約が一般的ですが、「修正」の定義は会社によって異なります。
- 軽微な修正の範囲: テロップの誤字脱字、色味の調整など。
- 大幅な修正の範囲: BGMの全入れ替え、ナレーションの再収録、企画の根本的な変更など。
企画の根本的な変更は、基本的に追加費用が発生します。どこからが追加費用となるのかを事前に書面で確認することが重要です。また大幅な変更が生じるということは、制作会社とのコミュニケーション不足も挙げられます。企画や構成の段階で軌道修正ができていれば、大幅な修正を行う必要はありません。修正対応の回数とあわせて、その前の確認の回数なども確認しておく必要があります。
2. 著作権・使用権の帰属
動画の権利関係は、慎重な確認が必要です。
- 素材の権利処理:動画内で使用するBGM、フリー素材、フォントなどが、商用利用可能かつ著作権処理済みであることを、制作会社が責任を持って行っているか。
- 納品後の二次利用:納品された動画を、Webサイトだけでなく、展示会、SNS、動画広告など、他の媒体で利用する予定がある場合、追加の利用料が発生しないか確認しましょう。通常、著作権は制作会社に残ることが多いため、使用許諾(二次利用権)について明確にしておく必要があります。
✅ チェック項目
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4.まとめ:チェックリストを活用し、最適なパートナーを見つける

動画制作・映像制作会社の選定は、貴社の事業戦略において重要なプロセスです。本記事でご紹介したチェックリストは、貴社の担当者としての不安を解消し、制作会社を単なる「業者」としてではなく、「課題解決のためのビジネスパートナー」として評価するための羅針盤となり得ます。
もう一度、特に重要な3つの視点を確認しましょう。
- 事前準備:目的(KPI)と予算を明確にし、最適な提案を引き出す土台を作る。
- 実績・提案力:実績の量だけでなく、自社の課題に対する論理的で具体的な解決策を提示できるか。
- 相見積もりと契約:内訳の透明性と、修正・著作権に関する契約条件を明確化する。
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