更新日: 【動画制作の納期ガイド】種類別・短納期で発注する際のポイントと注意点
動画制作の発注を検討する中で、納期は確認すべき重要事項の一つです。Web広告や採用など動画活用が進む現代において、納期は、動画の種類や企画の複雑さ、発注側の準備によって大きく変動します。
本記事は、納期の目安、短納期で発注を成功させる具体的なポイント、費用や注意点を解説するものです。貴社のスケジュールとリスク管理にお役立てください。
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目次
1. 動画制作の納期の目安と全工程

動画制作は、求める内容に沿った脚本、演出、撮影、編集などを組みあわせて制作するクリエイティブです。そのため、規格品とは異なり、要因によって納期が大きく変動します。
【全体納期目安】
企画から納品まで、動画1本あたりの一般的な納期は内容に寄る部分が大きいため、一概には言えませんが、標準的には1ヶ月〜3ヶ月程度が目安といえるでしょう。本記事後半では種類別の納期目安も記載していますので参考にしてください。
動画制作の一般的なプロセスと期間の目安
動画制作の全工程は、主に「企画」「制作(撮影・編集・仕上げ)」「納品」の3つのステップ、細分化すると以下の4つのフェーズで進行します。これらの工程の積み重ねが、最終的な納期となります。
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フェーズ |
主な作業内容 |
期間の目安 |
影響度 |
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1. 企画・構成 |
目的・ターゲット設定、構成案・絵コンテ作成、台本作成、社内承認 |
1週間〜1ヶ月 |
大 |
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2. 撮影 |
ロケハン、キャスティング、撮影本番、素材チェック(実写の場合) |
1日〜2週間 |
特大 |
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3. 編集・MA |
映像編集、テロップ・BGM・効果音挿入、ナレーション収録(MA) |
1週間〜1ヶ月 |
中 |
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4. 納品 |
最終チェック、細かな修正、データ形式変換、権利処理最終確認 |
数日〜1週間 |
小 |
※大規模なプロジェクトや、複雑な3DCGを伴う場合は、上記の目安を超える可能性があります。
工程別に見る!納期を左右する具体的な要素
納期遅延を避けるために、特に企業の担当者様が意識すべき主要な工程ごとの注意点と短縮のポイントを深掘りします。
【影響度(大)】企画・構成フェーズ(準備期間)
このフェーズは、後の工程全てを決定づける「設計図」です。企画内容の決定、絵コンテ・台本作成、クライアント内部での承認プロセスが必要なため、納期に大きな影響を与える可能性があります。また、ここでの作業を曖昧なまま進めてしまうと、撮影後や編集後に「すべてやり直し(手戻り)」になりかねず、最も大きな遅延の原因となります。担当者と上層部の間で認識のズレがあった場合、企画の差し戻しで2週間以上の遅延が発生する可能性があります。
【影響度(特大)】撮影フェーズ(実写の場合)
ロケ地・キャスト・撮影機材の手配、天候リスク、クライアント担当者の立ち会い日程調整など、実写動画の制作において、最もスケジュール調整が難しいのがこの撮影フェーズであり、納期のリスク(日程変更)が集中します。天候不良や出演者の体調不良が発生した場合、予備日の調整が必要となり、数日〜1週間の遅延は避けられません。
【影響度(中)】編集・MAフェーズ(仕上げ期間)
映像素材の選定、テロップ・BGMの挿入、ナレーション収録といった編集作業自体は技術的なプロセスですが、チェックバックの「回数」と「内容」が納期に直結するクライマックスの工程です。
【影響度(小~中)】MA・ナレーション収録フェーズ(見落とされがちな最終工程)
MA(Multi Audio:音響効果の最終調整)やナレーション収録は、納品直前の最終工程ですが、ここで手間取ると全体の納期に響きます。ナレーターの手配、収録日の確保、BGM・効果音の選定などの作業が必要で、ナレーターのスケジュール調整、収録後の原稿修正に伴う再収録といった部分で納期に影響を及ぼす可能性があります。
2. 納期に影響を与える主な要因(隠れた要因も含む)

納期を左右する最も大きな要因は、以下の5点です。特に発注者様側でコントロール可能な要因を理解しておくことが、納期短縮の鍵となります。
修正回数とフィードバックの速度(発注者様側の協力が必須)
制作会社が試写動画を提出した後、発注者様側のチェックとフィードバック(社内確認)に時間がかかったり、フィードバックが複数回にわたって発生したりすると、その都度制作が停止するため、その分納期は確実に遅延します。「修正待ち」の時間」が、全体の納期を最も引き延ばす原因となり得ます。
動画の尺(長さ)とクオリティ(制作ボリューム)
尺が長くなるほど編集作業量が増えるのは当然ですが、それ以上にクオリティへのこだわり(例:複雑なモーショングラフィックス、精度の高い3DCG、高度なカラーグレーディング)が強いほど、制作期間は長くなります。高品質なアウトプットには、時間をかけた丁寧な作業が不可欠です。
撮影の有無と規模(スケジュールのリスク)
実写撮影は、日程調整、ロケ地の許可取り、キャスティング、天候のリスクなど、予期せぬトラブルや準備に時間がかかるため、制作期間に最も大きく影響します。特に大規模な撮影や地方ロケは、予備日を設ける必要があり、スケジュールに余裕を持たせる必要があります。
機材・スタッフの特殊性
特殊な機材(ドローン、高速度カメラ、水中カメラなど)や、専門的なスキルを持つスタッフ(特殊メイク、パペットアニメーター、著名なナレーターなど)を手配する場合、そのスケジュールの空き状況に左右され、調整に時間がかかることがあります。
法務・著作権処理の複雑さ
動画内で使用するBGM、効果音、フォント、映像素材、出演者の肖像権など、使用権利(ライセンス)の確認や処理に時間を要する場合があります。特に商用利用が絡む場合、この確認が曖昧だと後々トラブルになるため、納品前の重要なチェック項目となり、数日を要することがあります。
3. 【種類別】動画制作の平均的な納期目安

ターゲット企業の目的によって、動画の制作期間は大きく異なります。代表的な動画の種類別の納期目安と、期間が変動する具体的なシナリオを見ていきましょう。
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種類 |
制作期間(目安) |
期間が変動する主な理由・シナリオ |
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A. 実写による企業紹介・サービス紹介動画 |
1ヶ月半〜3ヶ月 |
複数日の撮影、社内インタビュー、外部キャスト起用、代表者の日程調整、クライアントの監修頻度。 |
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B. 2D/3Dアニメーション動画 |
1ヶ月〜2ヶ月 |
キャラクターデザインの新規作成、3Dモデルの複雑さ、物理シミュレーション(煙・水など)の有無。 |
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C. 短尺のWeb広告動画(SNS用など) |
2週間〜1ヶ月半 |
尺が短くても、新規撮影や凝った編集、ABテスト用の複数パターン(5パターン以上)制作で期間が延長する。 |
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D. 既存素材を活用した編集のみの動画 |
1週間〜2週間 |
素材整理・確認のボリューム、テロップ量、ナレーション収録の有無。 |
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E. 複数言語対応動画(新設) |
+1週間〜1ヶ月 |
翻訳・ローカライズ、ネイティブナレーターの手配、テロップのフォント調整・再編集。 |
動画の種類によって、制作上のリスクや時間がかかるポイントが大きく異なります。
実写による企業紹介・サービス紹介動画
撮影のリスクが最も高く、天候や出演者のスケジュールによって納期全体が左右されやすいのが特徴です。特に代表者や重要人物へのインタビューがある場合、その方のスケジュールがボトルネックになることが多いため、余裕を持った期間設定が必要です。
2D/3Dアニメーション動画
実写のような外部リスクはありませんが、企画段階での手戻りが最も致命的になります。一度動きを作り始めた後のデザインや構成の変更は、アニメーターにとって大きな工数増につながり、大幅な遅延(1〜2週間以上)の原因となります。そのため、企画段階での合意形成が非常に重要です。
短尺のWeb広告動画(SNS用など)
尺が短いからといって短納期とは限りません。むしろ、効果検証のためのA/Bテスト用パターンを複数制作したり、視聴者の目を引くための凝ったモーショングラフィックス編集に工数がかかったりするため、編集負荷は高くなりがちです。シンプルな素材集めと編集であれば最短で制作可能です。
既存素材を活用した編集のみの動画
最も短納期を実現しやすい種類です。企画・撮影フェーズをスキップできるため、期間は素材の整理と編集ボリュームに絞られます。ただし、既存素材の著作権や使用許諾に関する確認を怠ると、納品直前でトラブルとなり、数日を要する遅延が発生するリスクがあります。
複数言語対応動画
ベースとなる動画制作期間に加え、翻訳・ナレーション収録・テロップ差し替えの時間が追加されます。特に、専門的な内容の翻訳チェックや、ネイティブスピーカーのナレーター手配のスケジュール調整に時間がかかるため、追加期間(+1週間〜1ヶ月)を見込む必要があります。
4. 短納期で動画制作を成功させるポイント

短納期での制作は、制作会社と発注者様の協力体制が不可欠です。発注者様側で以下の5つのポイントを徹底することで、スケジュールの遅延リスクを最小限に抑えられます。
「譲れない要素」の優先順位を明確化する
クオリティ、費用、納期のうち、納期を最優先であることを制作会社に明確に伝えましょう。また、動画の目的達成に必要な最低限の機能(仕様)に絞り込み、凝った演出や複雑な3Dアニメーションは避けることで、作業時間を大幅に短縮できます。シンプルで伝わる構成に徹することが重要です。
企画段階の情報を徹底的に準備し、すぐに提供する
制作に入る前に、動画の目的、ターゲット、メッセージを社内で完全に確定させてください。ロゴデータ、ブランドガイドライン、使用したい写真・動画素材など、制作に必要な素材は契約後すぐに提供できる状態にしておくことが必須です。素材の提供が遅れるだけで、制作開始が数日遅れてしまいます。
試写版の確認・仮納品の確認時間を社内で最優先で確保する
制作会社からのフィードバック依頼や、試写版・仮納品に対するチェックバックを迅速に行うための担当者専任体制(即決できる体制)を敷いてください。社内稟議や上長チェックを最優先事項として扱い、フィードバックはまとめて一度に行いましょう。頻繁な修正依頼(いわゆる「チョコチョコ出し」)は追加費用の発生にもつながってしまいます。
「撮影の有無」を検討し、既存素材やアニメーションで代替する
最も期間を要する新規の実写撮影を避け、ストック素材の活用や、スケジュール調整リスクの少ないアニメーション制作で代替できないか検討することが、最大の納期短縮につながります。実写にこだわる場合は、スタジオ撮影など、ロケハンや天候リスクのないシンプルな企画に限定しましょう。
制作会社の得意分野・リソースを確認しスケジュールを共有する
短納期対応の実績や、自社が希望する時期にリソースの空きがあるかを事前に確認しましょう。緊急性の高い案件ほど、即座に着手できるかつスピード対応を得意とする制作会社を選ぶことが重要です。特定の納期に実績のある制作会社は、特急対応のフローが確立されています。また発注時に、制作進行のスケジュールを制作会社に作成してもらい、お互いがそれに従って進行するという認識を持つことが重要です。
5. 短納期発注に伴う【注意点と追加コスト】

短納期での制作は、やむを得ない事情がある場合に有効ですが、以下の注意点と追加コストが発生する可能性があることを理解しておきましょう。
追加費用(特急料金)が発生する可能性
短納期対応を実現するためには、制作会社がスタッフの残業や休日出勤、外部のフリーランスへの高額な依頼など、通常よりも多くのリソースとコストを投じることになります。そのため、一般的な制作費用とは別に、特急料金(通常費用の10%〜50%程度)が発生することが一般的です。特に、土日や夜間の作業が発生するようなタイトなスケジュールでは、この追加コストは避けられません。
クオリティのトレードオフが発生する
時間的な制約から、撮影や編集に十分な検討時間が取れず、一部の表現や凝った演出を諦める必要が出てくる場合があります。例として、BGMのオリジナル制作ではなく著作権フリー音源の使用、高度な色彩調整(カラーグレーディング)の簡略化、凝ったテロップアニメーションの削減などが挙げられます。スピードを優先することで、動画の完成度が当初の理想よりも低くなる可能性があることを事前に許容しておく必要があります。
修正対応回数の制限
短納期のスケジュールを厳守するため、修正回数が1回や2回に制限されるなど、通常の契約よりも柔軟な対応が難しくなる場合が多いです。これは、スケジュールを厳密に管理するための措置であり、発注者側も「一発でOKを出す」という意識を持つことが求められます。
6. まとめと次のステップ

動画制作の納期は、単なる制作日数ではなく、「動画の種類」「各工程の複雑さ」「クライアントの協力体制」という複数の要素が絡み合って決まります。短納期での制作を成功させる鍵は、制作会社との事前の綿密なコミュニケーション、そして何よりも発注者様側の迅速な意思決定と十分な事前準備にかかっています。納期を最優先とする場合は、クオリティや費用において妥協点を見つける柔軟性も重要です。
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