更新日: 【社内担当者必見】動画制作は内製と外注どちらが正解?使い分け基準と注意点

近年、企業のマーケティングや採用活動において、動画の活用は不可欠な要素となっていますが、いざ動画制作を始めようとすると、「社内で作るべきか(内製)」「外部のプロに頼むべきか(外注)」という選択肢に悩む担当者の方も多いのではないでしょうか。本記事では、企業の動画制作における内製と外注、それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説し、自社に合った最適な方法を見つけるためのヒントを提供します。
目次
1. 動画制作は「内製」と「外注」どちらがいいのか?
企業の動画制作において、「内製」と「外注」のどちらが優れているということではありません。それぞれにメリット・デメリットがあり、どちらを選択するかは、動画の目的、予算、体制、内容によって大きく異なります。
内製と外注のざっくりした違い
- 内製: 社内のリソース(人材、機材、ノウハウ)を活用して動画を制作する方法です。
- 外注: 動画制作会社やフリーランスなど、外部の専門家(プロ)に動画制作を依頼する方法です。
判断を誤るとコスト・クオリティ・工数で失敗する可能性も
安易に「コストを抑えたいから内製」「クオリティ重視だから外注」と決めつけてしまうと、思わぬ落とし穴にはまる可能性があります。例えば、内製を選んだものの、担当者のスキル不足でクオリティが低くなったり、通常業務を圧迫してしまったりするケースも発生します。逆に、外注を選んだものの、意図がうまく伝わらず修正が重なり、結果的にコストと時間がかさんでしまうケースなどが考えられます。自社の状況を正しく把握し、慎重に判断することが重要です。
2. 企業が動画制作を【内製化】するメリット・デメリット
動画制作を社内で行う「内製化」について、そのメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット
◎スピード感を持った制作ができる
社内でのコミュニケーションが中心となるため、企画から撮影、編集、修正までの意思決定がスムーズに進み、スピーディーな動画公開が可能です。急な変更や修正依頼にも柔軟に対応しやすい点は大きな利点です。
◎コストを抑えやすい(長期的視点で)
初期投資として機材購入や人材育成のコストはかかりますが、一度体制が整えば、制作本数が増えるほど一本あたりの制作コストは外注に比べて低くなる傾向があります。特に、継続的に多くの動画を制作する場合には、コストメリットが大きくなります。
◎社内でコンテンツ運用のPDCAを回しやすい
制作から公開、効果測定、改善までを一貫して社内で行えるため、動画マーケティングのPDCAサイクルを効率的に回すことができます。視聴者の反応をダイレクトに把握し、次の施策に活かしやすい環境が作れます。また、制作過程で得られた知見やノウハウが社内に蓄積される点もメリットです。
デメリット
△クオリティに限界がある可能性
専門的な知識や高度な編集スキル、最新の撮影機材などを有するプロに比べると、クオリティ面で見劣りする可能性があります。特に、企業のブランドイメージに関わるような重要な動画や、複雑な演出・CGなどが必要な動画の制作は難しい場合があります。
△撮影・編集スキルを持つ人材の確保・育成が必要
動画制作には、企画構成、撮影技術、編集スキルなど、専門的な知識と経験が必要です。社内に適任者がいない場合は、新たに人材を採用するか、既存の社員を育成する必要があり、時間とコストがかかります。
△担当者のリソース圧迫や属人化のリスク
動画制作は想像以上に時間と手間がかかる作業です。担当者が他の業務と兼任している場合、リソースが圧迫され、本来の業務に支障が出る可能性があります。また、特定の担当者だけがスキルを持っている状態になると、その担当者が異動や退職した場合に制作がストップしてしまう「属人化」のリスクも考慮しなければなりません。
3. 企業が動画制作を【外注】するメリット・デメリット
次に、動画制作を外部の専門家に依頼する「外注」のメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット
◎高品質な映像・編集が期待できる
動画制作会社やプロのクリエイターは、豊富な経験、専門知識、高性能な機材、そして最新のトレンドに関する情報を持っています。そのため、企画・構成から撮影、編集、音響効果に至るまで、クオリティの高い動画制作が期待できます。自社だけでは実現できないような、洗練された映像表現や演出も可能です。
◎コンセプト設計や演出などプロの知見が活かせる
「どのような動画を作ればターゲットに響くのか」「どうすれば効果を最大化できるのか」といった戦略的な部分から相談に乗ってもらえます。プロの視点からの客観的なアドバイスや、効果的な演出の提案を受けることで、より訴求力の高い動画を制作できます。
◎リソース不足でもスムーズに動画展開が可能
社内に動画制作のスキルを持つ人材や、制作に割ける時間がない場合でも、外注を活用すればスムーズに動画コンテンツを展開できます。担当者は制作の実作業に時間を取られることなく、本来の業務に集中しながら、動画マーケティング施策を進めることが可能です。
デメリット
△コストが比較的高め(継続制作には注意)
プロに依頼するため、当然ながら制作費用が発生します。特に、企画から丸ごと依頼する場合や、修正回数が多い場合、また継続的に多くの動画を制作する場合は、コストがかさむ可能性があります。予算とのバランスを考慮する必要があります。
△スケジュールや修正の調整に時間がかかる場合も
外部の制作会社とのやり取りが発生するため、社内だけで完結する内製に比べると、コミュニケーションや意思決定に時間がかかる場合があります。スケジュールの調整や、修正依頼の反映にタイムラグが生じる可能性も考慮しておきましょう。
△外注先との認識齟齬が生まれるリスク
自社の意図やイメージ、動画制作の目的などを正確に伝えきれていないと、完成した動画が期待していたものと異なってしまうリスクがあります。制作会社との間で認識のズレが生じないよう、事前の打ち合わせや、制作途中の細やかなコミュニケーションが重要になります。
4. 【目的別】内製と外注の使い分け判断ガイド
では、具体的にどのような動画を制作する場合に、内製と外注のどちらが向いているのでしょうか。一概には言えませんが、動画の種類や目的別に、一般的な向き不向きを以下の表にまとめました。
動画の種類・目的 |
内製向き |
外注向き |
判断ポイント |
SNS用の短尺動画 (日々の発信) |
◎ (スピード、頻度重視) |
△ (コスト、スピード面で不向きな場合も) |
最新情報の発信、リアルタイム性が求められるため、内製が可能か外注でスピード面が保てるかを重視 |
社内イベント・研修動画 |
○ (コスト、機密性) |
○ (クオリティ、演出重視の場合) |
社内使用のみのコンテンツであれば内製検討、外部への展開もある場合は外注も検討する |
社員インタビュー・座談会 |
○ (コスト、リアルな雰囲気) |
○ (構成力、見せ方重視の場合) |
社内使用のみのコンテンツであれば内製検討、外部への展開もある場合は外注も検討する |
Webサイト掲載のサービス紹介動画 |
△ (クオリティが担保できれば) |
◎ (ブランドイメージ、訴求力重視) |
企業の顔となるコンテンツ、分かりやすさ、信頼性が求められる |
採用説明会用動画・会社紹介動画 |
△ (クオリティ、構成力が重要) |
◎ (企業の魅力、ブランドイメージ訴求) |
企業の第一印象、応募者への訴求力が求められる |
商品・サービスのプロモーション動画 |
△ (高い訴求力、演出が必要な場合が多い) |
◎ (マーケティング効果、クリエイティブ重視) |
売上への貢献、ターゲットへの強いアピールが必要 |
テレビCM・Web広告用動画 |
× (専門知識、法的規制への対応が必須) |
◎ (高いクオリティ、効果測定、専門性) |
広範囲へのリーチ、厳格な基準、高い広告効果を求められる |
マニュアル・ハウツー動画 |
○ (クオリティが不要・更新頻度の多さなど) |
○ (分かり易い撮影や演出方法) |
クオリティ、分かり易さの面で判断 |
◎:非常に向いている / ○:向いている / △:条件によっては可能 / ×:あまり向いていない
この表はあくまで一般的な目安です。例えば、SNS用の短尺動画であっても、企業のブランディングに関わるキャンペーンであれば、外注してクオリティを追求する方が良い場合もあります。最終的には、動画制作の「目的」「ターゲット」「予算」「求めるクオリティ」「制作体制」などを総合的に考慮して判断することが重要です。
5. 動画制作を内製化する際のポイントと準備
動画制作の内製化を進めるのであれば、以下の点を押さえて準備を進めましょう。
必要なスキルと社内リソースの確認
まずは、動画制作に必要なスキル(企画構成、撮影、編集、デザインなど)を洗い出し、社内にそれらのスキルを持つ人材がいるか、または育成可能かを確認します。担当者の現在の業務量も考慮し、動画制作に十分な時間を確保できるかどうかも重要なポイントです。
撮影機材・編集ソフトの準備
どのような動画を作るかによって必要な機材は異なりますが、最低限、カメラ(スマートフォンでも可)、マイク、照明、三脚などが必要になるでしょう。編集ソフトも、無料のものから高機能な有料ソフトまで様々です。目的に合った機材とソフトを選定し、予算を確保します。
テンプレートやストック素材を活用する
ゼロから全てを制作するのは大変です。動画編集ソフトに用意されているテンプレートや、ロイヤリティフリーの動画・音楽素材(ストック素材)などを活用することで、効率的に、かつクオリティの高い動画を制作できます。
社内における制作フローの整備(撮影→編集→承認→公開)
誰が、いつ、何を担当するのか、制作プロセスを明確にしておくことが重要です。企画立案、絵コンテ作成、撮影、編集、関係部署への確認・承認、そして公開までの流れをルール化し、関係者間で共有しておきましょう。これにより、スムーズな制作進行と、クオリティのばらつきを防ぐことができます。
6. 動画制作を外注する際の流れと注意点
次に、動画制作を外注する場合の一般的な流れと、失敗しないための注意点について解説します。
基本的な流れ
①制作目的・ターゲット・活用方法の明確化
まず、「何のために」「誰に」「どのように」動画を使いたいのかを具体的に整理します。これが曖昧だと、制作会社との間で認識のズレが生じやすくなります。
②外注先候補のリサーチ(制作会社・フリーランスなど)
Webサイトで制作実績を確認したり、紹介を受けたりして、候補となる制作会社やフリーランスを探します。得意なジャンル(実写、アニメーションなど)や、過去の実績が自社のイメージと合っているかなどを確認しましょう。
③見積もり・企画提案の比較
複数の候補に問い合わせをし、見積もりと企画提案を依頼します。料金だけでなく、提案内容、担当者の対応、制作体制などを比較検討します。
④契約・スケジュール調整
依頼先が決まったら、契約を締結します。契約内容( deliverables, 修正回数、納期、著作権の帰属など)をしっかり確認しましょう。制作スケジュールも具体的に詰めていきます。
⑤撮影・編集・納品
制作会社の指示に従い、撮影に協力したり、編集内容を確認したりします。定期的に進捗を確認し、フィードバックを行いましょう。完成したら、最終チェックを行い、納品を受けます。
⑥公開・分析・改善
納品された動画を公開し、その効果を測定・分析します。視聴回数、視聴維持率、コンバージョン率などを確認し、改善点があれば次の制作に活かします。
注意すべきポイント
▶︎丸投げではなく、目的・イメージをしっかり伝えること
外注は「お任せ」ではありません。制作の目的、ターゲット、伝えたいメッセージ、希望する雰囲気などを具体的に、かつ熱意を持って伝えることが、成功の鍵となります。参考となる動画イメージがあれば共有すると良いでしょう。
▶︎実績・ポートフォリオの確認
制作会社のウェブサイトや提案資料で、過去の制作実績(ポートフォリオ)を必ず確認しましょう。自社が作りたい動画のテイストやクオリティに近い実績があるか、得意なジャンルは何かなどをチェックします。
▶︎著作権・修正回数など契約書の内容を確認
動画の著作権は誰に帰属するのか、修正は何回まで無料なのか、追加費用が発生するケースは何かなど、契約書の内容は細部まで確認し、不明な点は事前に解消しておきましょう。
▶︎アフターサポートの有無
動画公開後の修正や、別バージョン制作の依頼など、アフターサポートに対応してもらえるかどうかも確認しておくと安心です。
7.まとめ:自社に合った「動画制作の最適解」を見つけよう
企業における動画制作の内製と外注について、それぞれのメリット・デメリット、そして選択のポイントを解説してきましたが、内製と外注に絶対的な正解はありません。 企業の事業フェーズ、動画活用の目的、かけられる予算、社内のリソース状況などによって、最適な方法は異なります。
- スピード感やコスト効率、社内ノウハウの蓄積を重視するなら「内製」
- 高いクオリティや専門的な演出、リソース不足の解消を求めるなら「外注」
という基本的な考え方を軸に、自社の状況を客観的に分析し、判断することが重要です。また、「内製」と「外注」を組み合わせる「部分外注(ハイブリッド型)」という戦略も有効です。 例えば、企画や撮影は社内で行い、高度な編集やアニメーション制作だけを外注する、あるいは、基本的な動画は内製し、重要なプロモーション動画のみ外注するといった方法です。今回の記事を参考に、ぜひ自社にとって最適な動画制作の体制を検討し、必要に応じて、映像制作会社に質問や相談をしながら、効果的な動画活用を進めてください。
8.Q&A
Q1: 企業が動画制作をする際、「内製」と「外注」のどちらが良いか一概に言えないのはなぜですか?
A1: 目的、予算、体制、制作する動画の内容によって最適な選択肢が異なるからです。それぞれにメリットとデメリットがあり、状況に合わせて判断する必要があります。
Q2: 動画制作を内製化する主なメリットは何ですか?
A2: スピード感を持った制作、長期的な視点でのコスト抑制、社内でコンテンツ運用のPDCAを回しやすい点が主なメリットです。
Q3: 動画制作を外注する主なメリットは何ですか?
A3: 高品質な映像・編集が期待できること、コンセプト設計や演出などプロの知見が活かせること、リソース不足でもスムーズに動画展開が可能なことが主なメリットです。
Q4: SNS用の短尺動画を制作する場合、内製と外注のどちらが向いていますか?
A4: 一般的には内製が向いています。スピードと頻度が重視されるため、社内で迅速に制作できる体制が適しています。ただし、企業のブランディングに関わる重要なキャンペーンであれば、外注してクオリティを追求する方が良い場合もあります。
Q5: 動画制作を外注する際に注意すべきポイントは何ですか?
A5: 丸投げではなく、目的・イメージをしっかり伝えること、実績・ポートフォリオの確認、著作権・修正回数など契約書の内容を確認すること、アフターサポートの有無を確認することが重要なポイントです。
CONTACTお問い合わせ
TEL:03-3406-7021