更新日: オウンドメディアで動画を活用するメリット・デメリットとは?
自社が保有するオウンドメディア(Owned Media)のウェブサイト内に動画を取り入れることは、有効な手段の一つです。今回はオウンドメディアの基礎知識、動画を取り入れるメリット・デメリットや注意点を解説します。
目次
1.オウンドメディアとは
そもそもオウンドメディアとは何なのか、基礎知識と似たような用語の違いを解説していきます。
オウンドメディア
オウンドメディアとは、企業や個人が所有し管理している媒体(メディア)のことです。具体的には、以下のようなものが挙げられます。
- Webサイト(ECサイトを含む)
- ブログ
- ソーシャルメディア(Facebook、Instagram、X(旧Twitter)、YouTube、TikTokなど)
- メールマガジン
- 印刷物(書籍、カタログ、パンフレットなど)
オウンドメディアはブログを指すことも多いですが、オンライン・オフライン問わず、企業や個人が広報として発信しているものは、オウンドメディアに該当します。
ペイドメディア・アーンドメディア
ペイドメディアは、企業や個人に料金を支払い、一定期間広告を掲載したり、宣伝してもらったりする手法です。例として、Web広告やラジオ、雑誌などが挙げられます。企業やブランドの存在感を示しやすく、影響力の強いメディアであれば即効性も期待できるのが特徴です。
アーンドメディアとは、企業に直接関わりのない第三者が発信するメディアのことです。具体的には、SNSや口コミサイトなどが挙げられます。企業側と発信者の間で金銭のやりとりが発生していないため、情報への信頼を獲得しやすい点に特徴があります。
公式サイトとの違い
オウンドメディアと公式サイトの違いは、目的にあります。公式サイトは自社の情報公開を目的としており、企業概要や商品・サービス紹介、問い合わせフォームなど固定の情報を掲載します。一方のオウンドメディアは、マーケティングが主な目的です。自社のサービスや商品を購入してもらう行動につながるコンテンツを掲載するケースが多いです。たとえばお役立ち情報を掲載したり、商品の活用方法を紹介したりなど、集客の入り口となる情報を発信しています。
2.オウンドメディアで動画を活用するメリット・デメリット
オウンドメディアに動画を活用すると、さまざまなメリットがある一方、デメリットも存在します。両方を知っておくことで、本当に必要な手段なのか判断しやすいでしょう。
メリット
オウンドメディアに動画を活用するメリットを4つ紹介します。
【情報がわかりやすく伝わる】
動画は短時間で多くの情報を伝えるのに有効です。記事は文字で伝えることが基本ですが、動画はイラストやナレーションなど多角的な伝え方が可能なため、短い時間で多くの情報を伝えることが可能です。実際にアメリカのForrester Research社のJames L. McQuivey博士が2014年に発表した研究でも、それを裏付ける結果が出ています。動画の伝達能力に関する研究結果によると、1分間の動画内で伝えられる情報量は文字にすると180万語、Webページでは約3,600ページ分に相当するとされています。動画を活用することで、ユーザーにより詳細にアプローチがしやすくなるということです。
【サイト滞在時間が長くなる】
動画を活用することで、ユーザーのサイトの滞在時間を延ばせる可能性があります。記事コンテンツを制作する際、サービスや商品によっては画像と文字だけでは説明が難しく、文章が長くなってしまうケースも少なくありません。一方、動画は視覚的・聴覚的な要素を豊富に含んでいるため、情報をよりわかりやすく魅力的に伝えられます。これにより、ユーザーは動画の内容に興味を引きやすくなり、結果的にサイト上での滞在時間を長くすることが可能です。また、滞在時間が延びることは、コンバージョン獲得にも効果的とされています。その理由は、ユーザーに自社の製品やサービスのメリットなどの情報をより多く伝達できるためです。このように、動画の活用はサイトの滞在時間を延ばせることに加え、コンバージョン獲得も期待できる手段といえます。
【印象に残り、拡散を期待できる】
動画は表現の自由度が高く、視覚と聴覚の両方を刺激できるため、テキストや写真に比べて目を引きやすく印象に残りやすい点が強みです。また、動画はSNSと相性が良いため、魅力的な動画であれば拡散される可能性があります。拡散が成功できれば、より多くの人にアプローチができ、新規顧客獲得につながりやすくなるでしょう。
【SEO対策につながる】
動画はSEO対策にも有効な手段です。ユーザーが検索したキーワードにマッチした動画を、ブログやWebサイトに組み込むことで、検索エンジンからの評価が高くなり、上位表示される可能性があります。ただし、やみくもに動画を掲載する方法は好ましくありません。動画を掲載し過ぎると、ページの読み込みに時間がかかり、ユーザーが離脱してしまうリスクがあります。掲載する内容に沿った動画を厳選して掲載することが大切です。
デメリット
オウンドメディアのデメリットを3つ解説します。
【運営コストがかかる】
オウンドメディアの運営には、一定のコストが発生します。社内で制作する場合、撮影機材や動画編集ソフトなど、ツールを用意する必要があります。また、スタッフが本業と並行して動画制作する場合は、残業面など人件費がかさむことも考えられるでしょう。外部に委託する場合においても、クオリティや尺にもよりますが、制作費用として数十万円〜数百万円規模のコストがかかります。また、金銭的なコストに加え、オウンドメディアの効果を高めるには、定期的に更新(動画制作)していく必要があるため、時間や労力面でもリソースを作っておくことが必要です。
【コンバージョンの獲得まで時間がかかる】
オウンドメディア全体にいえることですが、コンバージョンを獲得するには、一定のアクセス数やファンの獲得が欠かせません。そのためには、SEOやSNSマーケティングなどの対策も必要になり、効果が出るまで一定期間を要します。そのため、短期間での効果は見込みにくいということを理解しておく必要があります。
【最後まで動画を視聴してもらえない可能性もある】
労力とコストをかけて動画制作して公開したとしても、必ずしも最後まで視聴してもらえるとは限りません。クオリティが低ければすぐに離脱してしまう可能性があり、逆にクオリティが高くても、ユーザーの検索意図にマッチした動画でなかった場合は、最後まで視聴してもらうことが難しくなります。ユーザーが求める情報をリサーチして盛り込みながら、演出にも工夫を凝らすことが大切です。
3.オウンドメディアの動画を活用する際の注意点
オウンドメディアの手段として動画を活用する際に、いくつか注意したいポイントがあります。ここからは、注意点を解説していきます。
目的やターゲットを明確にする
動画を制作する際は、何のために動画を用いるのか、視聴者となるターゲットはどんな人物なのか洗い出すことが重要です。何も考えずにただ動画を量産しても、ターゲットの目に触れることは難しいでしょう。ターゲットを絞る際に注目したいポイントは、以下の7つです。
- 年齢と世代
- 職業
- 年収
- 性別
- 家族構成
- 居住地域
- 趣味
マーケティングの基本は、ターゲットを明確にし、それぞれに最適な施策を展開することです。想定するターゲットが決まったら、そのターゲットに対して訴求効果の高い動画の構想を練る必要があります。
効果測定を行う
オウンドメディアでは、効果が出るまで一定の時間が必要です。このときに重要となるのが、適切なKGI・KPIを設定することです。KGIは「重要目標達成指標」のことで、最終的なゴールを意味します。オウンドメディアが「何をもって目的を果たしたといえるのか」を設定します。
一方のKPIは「重要業績評価指標」のことで、簡単に言うと中間目標です。いずれも実現可能な数値を設定することが重要になるため、根拠のある目標を掲げましょう。中間目標を立てたものの、思うように効果が出ていない場合は、必要に応じて対策を講じる必要もあります。定期的な分析と改善を繰り返すことが、KGIへ近付くための大切な要素です。
動画制作のリソースを確保する
動画制作は企画から制作までかなり労力のかかる作業です。社内で制作する場合はリソースの確保が必要です。スタッフが通常の業務と兼任して進める場合は、残業が発生する可能性もあるため、人件費も考慮しておく必要があります。しかし、しっかり結果を出せる人材は希少であるため、人材を社内で確保できない場合は、外部に委託することも一つの方法です。
正確な情報と質を伴った動画内容にする
ユーザーが最後まで視聴するかどうかは、動画の質で大きく左右されます。また、正しい情報であることも欠かせない要素です。仮に誤解を招くような内容にしてしまうと、炎上のリスクが懸念されます。とくに動画コンテンツはSNSで拡散されやすいため、企業の大幅なイメージダウンにつながりかねません。そのため、動画を制作する際は、質だけでなく正確な情報かどうかもよく吟味しながら企画する必要があります。
著作権侵害に注意する
動画を制作する際は、著作権を侵害していないかよく確認しておきましょう。人物の顔や建物、使用するBGMなど、使用する際に事前に許可が必要なケースがあります。著作権侵害とみなされた場合は、大きなトラブルになりかねません。使用する素材は、許可が必要なものかどうか、必ず調べておく癖をつけておきましょう。
4.オウンドメディアでの動画活用事例
オウンドメディアで動画を活用した事例を5つ紹介します。
株式会社カインズ|となりのカインズさん
ホームセンターを展開する大手小売企業・株式会社カインズが運営するWebサイト「となりのカインズさん」に動画が導入されている事例です。DIY初心者でも簡単にできる工作動画をはじめ、時折エンタメ要素の強いシーンも盛り込まれており、堅すぎず、親しみを感じやすい雰囲気が魅力的です。また、動画内で紹介した商品や関連商品は、購入リンクが添付されているため、購入または検討できるように流入経路も確保されています。
株式会社ポップティーン|Popteen TV
Z世代の女性たちから絶大な支持を誇るファッション雑誌「月刊Popteen」のオウンドメディアとして、動画を活用した事例です。YouTubeチャンネル「Popteen TV」では、モデルたちのメイクやコーディネート動画、質問コーナーなど、さまざまな動画が公開されています。貴重なオフショットが見られることで大きな反響を呼び、雑誌のファンとの関係性を強固にすることに成功している事例です。
株式会社ユニクロ|LIFEWEAR MAGAZINE
株式会社ユニクロが運営するオウンドメディア「LIFEWEAR MAGAZINE」に動画を活用した事例です。商品やスタイリング例について動画で解説しており、素材感や着用感も直感的にわかるようになっています。また、動画を含むコンテンツには、プレビュー動画が流れる仕様になっており、より興味を引くように工夫されている点も特徴です。
KDDI株式会社|au公式チャンネル
三太郎シリーズをはじめとする、個性的なテレビCMが大人気のKDDI株式会社では、オウンドメディアとしてYouTubeチャンネルを運営しています。スマートフォンやタブレット端末の使い方、住所変更方法などよくある質問を動画にまとめており、いずれも約2〜4分程度の短尺で作られている点が特徴です。
株式会社ダイソー|公式Instagramアカウント
100円ショップ最大手のダイソーの公式Instagramアカウントに、動画を活用している事例です。投稿では、商品の魅力や、具体的な使用方法を動画を交えながら解説しています。動画も盛り込むことで、実際に使用しているシーンをイメージしやすくなります。投稿も非常に見やすく、ひと目でわかるような魅力的なサムネイルに仕上げられている点も特徴です。
5.オウンドメディアで動画を効果的に活用しよう!
オウンドメディアに動画を取り入れることで、より詳細に商品やサービスの魅力をわかりやすく伝えたり、内容が良ければ拡散してもらえたりなどのメリットがあります。一方、それなりのコストがかかるだけでなく、成果が出るまでに一定期間を要するため、長期的な戦略を前提にして取り組む必要があります。また必要に応じて、外部に委託することも一つの選択肢です。
6.Q&A
Q.オウンドメディアにはどんなものがありますか?
A.Webサイトや自社ブログ、SNS、メールマガジン、書籍などがオウンドメディアに該当します。
Q.オウンドメディアで動画を活用する際に成功させるコツは何ですか?
A.以下のポイントを意識しましょう。
- 目的・ターゲットを明確にする
- KGIとKPIを設定し、定期的に効果測定をおこなう
- 最後まで視聴してもらえるように工夫を凝らす
Q.動画を最後まで視聴してもらうコツは何ですか?
A.長い動画は好まれない傾向にあるため、簡潔に短く伝える動画が望ましいです。また、動画の冒頭は続きが気になるような工夫を凝らすことを意識しましょう。たとえば、動画の概要を冒頭で見せたり、最後まで視聴するメリットを伝えたりなどが挙げられます。
Q.オウンドメディアで動画を活用した際、効果が出るまでどのぐらいの期間がかかりますか?
A.動画コンテンツが検索エンジンなどで上位表示されるまでには、半年以上かかるケースも珍しくありません。最低でも半年〜1年以上は見込んでおいたほうが良いでしょう。
Q.オウンドメディアで動画を活用するメリットは何ですか?
A.動画には、情報をわかりやすく伝える効果や印象に残りやすいといったメリットがあります。潜在顧客への働きかけや自社のブランディングが可能になるだけでなく、発信した情報は蓄積されるため、継続的な集客効果が期待できます。
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