更新日: 【2025年最新】インバウンド動画のトレンドは?海外で再生される動画制作の3つの共通点

「海外からもっと観光客を呼び込みたいけど、どうアピールすればいいんだろう?」
「プロモーションに動画がいいとは聞くけれど、どんな動画が外国人に響くのかわからない…」
インバウンド観光に携わる事業者様や自治体の担当者様の中には、このような悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。情報が溢れる現代において、海外の旅行者に日本の地域の魅力を届け、実際に足を運んでもらうことは、決して簡単なことではありません。
今のインバウンド動画成功の鍵は「いかにリアルな体験価値を、言葉の壁を越えて伝えられるか」にあります。本記事では、インバウンド動画の成功事例を参考にし、最新のトレンドを意識した外国人観光客に魅力が伝わる動画のポイントを解説していきます。
1.インバウンド動画とは?
インバウンド動画とは、海外からの観光客(インバウンド)誘致を目的として制作されるプロモーション動画を指します。近年、訪日外国人観光客の増加に伴い、その重要性が飛躍的に高まっています。
インバウンド動画が重要となっている経緯
かつて、海外からの情報収集手段はガイドブックや旅行雑誌が主流でしたが、インターネットとスマートフォンの普及により状況は一変しました。特に、YouTube、TikTok、Instagramリールといった動画プラットフォームが世界中で人気を博し、多くの旅行者が旅の計画段階(旅マエ)から旅先(旅ナカ)での情報収集に動画コンテンツを利用するようになりました。テキストや写真だけでは伝えきれない「体験価値」や「臨場感」を瞬時に伝えられる動画は、旅先の魅力を効果的に伝える上で不可欠なツールとなったのです。
インバウンド動画制作のメリット
インバウンド動画を制作する最大のメリットは、「言葉の壁を越えて魅力を伝えられる」点にあります。美しい映像、心地よい音楽、人々の自然な表情は、言語に関係なく視聴者の感情に直接訴えかけます。これにより、ターゲットとする国や地域の言語に特化せずとも、世界中の人々にリーチすることが可能になります。
また、動画は「疑似体験」を提供し、「ここに行ってみたい!」という強い動機付けを生み出します。地域の「空気感」や「スケール感」、そしてそこにしかない「物語」を伝えることで、単なる観光地紹介に留まらない、深い共感と訪問意欲を喚起できるのです。さらに、SNSでの拡散性が高く、効果的な情報伝達とブランディングに貢献します。
2. 【2025年最新】インバウンド動画の3大トレンド
では、具体的にどのような動画が今の時代に求められているのでしょうか。ここでは、絶対に押さえておきたい3つの大きなトレンドをご紹介します。
トレンド1:縦型ショート動画
一つ目のトレンドは、「縦型ショート動画」です。これは、TikTokやInstagramリール、YouTubeショートに代表される、スマートフォンでの視聴に最適化された短い動画フォーマットを指します。短時間で次々と新しいコンテンツを楽しめるショート動画は、情報収集とエンターテイメントを両立したいというニーズに完璧にマッチしました。特に、旅行のようなビジュアルが重要なジャンルとは相性抜群です。また、スマホを縦に持ったまま全画面で表示されるため、非常に没入感が高いのも特徴です。「ながら見」でも、その地域の魅力が直感的に、そして強烈に伝わることも大きなメリットです。
動画のポイント
縦型ショート動画の鍵は「最初の1秒」です。ユーザーは少しでも「つまらない」と感じたら、すぐに指でスワイプして次の動画に移ってしまいます。そのため、冒頭でインパクトのある映像を見せたり、リズミカルな音楽を使ったりして、視聴者の心を一瞬で掴む工夫が不可欠です。
トレンド2:リアルな体験価値
二つ目のトレンドは、コンテンツの「質」の変化です。かつてはプロのカメラマンが撮影した、完璧に作り込まれた美しい広告映像が主流でした。しかし今、人々が求めているのは、より「リアル」で「本物」の体験です。実際にその場所を訪れた旅行者が撮影したVlog(ビデオブログ)のような、少し手作り感のある動画のほうが「信頼できる情報」として受け入れられやすいでしょう。
動画のポイント
このトレンドを捉えるには、「観光地の紹介」という発想から一歩踏み出すことが重要です。
- 有名な観光スポットだけでなく、地元の人しか知らないような何気ない路地裏の風景
- ガイドブックには載っていない、ローカルな食堂での食事シーン
- お土産物屋さんの店主との、ちょっとした会話や笑顔
こういった「そこにしかない本物の日常」こそが、海外の旅行者にとっては新鮮で、かけがえのない「体験価値」として映るのです。完璧な映像美を目指すのではなく、その土地の温かい空気感や人々の息づかいが伝わるような、親しみやすい動画を心がけましょう。
トレンド3:ストーリーテリングと「コト消費」の深化
三つ目のトレンドは、単なる場所の紹介ではなく、「物語」を伝えることです。旅行の目的が、モノを買う「モノ消費」から、体験を重視する「コト消費」へとシフトしていることは、皆さんもご存知の通りです。動画においても、この「コト」の背景にあるストーリーを伝えることが、より深い感動と共感を生み出します。美しい風景の映像を繋げた動画は、もちろんその映像美によるインパクトは強いです。しかし、そこに「物語」が加わると、視聴者は映像に感情移入し、その場所を単なる観光地としてではなく、特別な意味を持つ場所として認識するようになります。
動画のポイント
あなたの地域にある「物語」を探してみてください。
- 何百年も続く伝統工芸。その技術を受け継ぐ職人の想いや哲学。
- 地域で大切にされているお祭り。その準備に奮闘する人々の姿や、祭りに込められた願い。
- 過疎化に悩みながらも、故郷を愛し、新しい挑戦を始めた若者たちの物語。
こうした人々の想いや歴史に焦点を当てたストーリーは、視聴者の心を強く揺さぶります。そして、「この職人さんに会ってみたい」「このお祭りに参加してみたい」という、唯一無二の訪問動機を創り出すことができるのです。
3.インバウンド動画の成功事例
成功事例1:栃木県日光市「【日光市観光PR動画】Re:NIKKO」
ナレーションを一切使わず、美しい映像と環境音、BGMのみで構成された動画。奥深い自然と文化を中心に、春夏秋冬それぞれの魅力を非言語的に表現しています。言葉の壁を完全に排除し、視覚と聴覚に直接訴えかけることで、世界中の視聴者に「癒し」や「静けさ」といった感情的な体験を提供しているのが特徴です。YouTubeで17万回以上再生されています。
成功事例2:福岡県北九州市『関門海峡PRムービー「 COME ON!関門!」』
関門海峡を特撮風のドラマ映像でPRしています。怪獣というダイナミックなコンセプトと予想外の終わり方となる展開で、関門海峡の流れの速さを強烈に印象づけています。全編セリフは英語で制作されており、再生回数も2億回を超え、外国人観光客に向けた地域ブランディングの代表的な成功事例と言えるでしょう。
成功事例3:東北6県「Autumn Colors in Tohoku, Japan 4K (Ultra HD) – 東北の秋」
動画全編を通してナレーションはなく、4Kで撮影された映像で東北の美しい秋を感じることができるPR映像です。またBGMも主張しすぎず、環境音を活かし自然そのままの音を聞かせることで没入感を生み出しています。特に映像の冒頭は、BGMもなく、視聴者を惹きつけるインパクトのある構成にもなっています。
成功事例4:Visit Japanシリーズ(JNTO)
チャンネル▶︎https://youtube.com/@visitjapan1216?si=EOFEXcUG0wOlARfu
日本政府観光局(JNTO)が様々なテーマで制作するプロモーション動画シリーズを掲載しているチャンネルです。地域の祭り、食文化、自然など、具体的な「コト消費」に焦点を当てたものが多く、ターゲット市場のニーズや興味に合わせた多様なテーマ設定と動画構成、高品質な映像制作が特徴です。YouTubeや各国の主要SNSで戦略的に配信され、日本の多様な魅力を世界に発信しています。
成功事例5:特定の地域を訪れた外国人Vloggerの動画
@karlieplace 😮🇯🇵 Jaws on the floor, Kyoto you’re something else! Locations ⬇️ ⚜️ Kinkaku-ji Temple 👘 Hōkan-ji Temple (Yasaka Pagoda) 🎍Arashiyama Bamboo Forest ⛩️ Fushimi Inari 🦀 Nishiki Market #japan #kyoto #girstrip ♬ Param-Pam-Pam – Carlos Campos
@lokezey One of our best holiday destination #japantravel #japan #tokyo #osaka #japantravel #kyoto #japantiktok ♬ 原声 – Gin
こちらは自治体や企業などが公式的に制作した動画ではなく、実際の観光客やインフルエンサーなどが投稿した縦型ショート動画になります。Vlog風の構成や、実際に訪れて「良い」と感じたものを動画に落とし込んでいるため、「リアル」な観光地を知れる動画として多くの観光客がSNSを中心に参考にしています。
4. 再生されるインバウンド動画制作の「3つの共通点」
最新のトレンドを押さえた上で、さらに重要になるのが、国籍や文化の壁を越えて響くための普遍的な法則です。世界中で再生され、多くの人々の心を動かしているインバウンド動画には、これからご紹介する「3つの共通点」が存在します。
共通点1:言葉に頼らない「ノンバーバル」な魅力訴求
海外向けの動画を制作する際、多くの人が「ナレーションや字幕を何語にすればいいのか?」という問題に直面します。英語、中国語、韓国語…と対応を考え始めるとキリがありません。しかし、成功するインバウンド動画は、この「言葉の壁」そのものを軽やかに飛び越えています。その答えが「ノンバーバル(非言語的)」なコミュニケーションです。ノンバーバルとは、言葉以外の要素でメッセージを伝えることです。具体的には、以下のような要素を最大限に活用します。
- 圧倒的な映像美: 4Kカメラやドローンを駆使して撮影された、息をのむような絶景。
- 心地よい環境音(ASMR): 森の木々が風にそよぐ音、神社の静寂の中に響く鈴の音、小川のせせらぎ。
- 感情を揺さぶるBGM: 映像の雰囲気に合わせて選ばれた、感動的、あるいはリズミカルな音楽。
- 人々の自然な表情: 美味しいものを食べた時の満面の笑み、美しい景色を見た時の驚きの表情。
これらの要素は、言語を介さずとも、感情にダイレクトに訴えかけます。美しいものは誰もが美しいと感じ、楽しそうな雰囲気は見ている人をも楽しくさせるのです。
もちろん、場所の名前や簡単な説明など、補助的に多言語字幕を入れることは有効です。しかし、基本は「映像と音だけで8割方の魅力が伝わる」状態を目指すこと。これが、グローバルに通用する動画の第一歩です。
共通点2:視聴者を「主人公」にする体験型の構成
二つ目の共通点は、動画の「視点」にあります。多くの観光PR動画は、「この場所はこんなに素晴らしいですよ」という、作り手側からの「紹介」や「説明」の視点で構成されています。しかし、本当に人の心を動かす動画は、視聴者を「傍観者」のままにはさせません。視聴者自身が、まるでその旅の「主人公」になったかのような感覚を抱かせる「体験型」の構成になっているのです。一方的な情報の受け手ではなく、物語の当事者として感情移入させることで、視聴者の「行ってみたい」という気持ちを格段に高めることができます。
この体験型の構成を実現するために、以下のようなテクニックが有効です。
- 主人公目線(POV)の活用: カメラを撮影者の目線の高さに固定し、歩いたり、食べたり、何かを体験したりする様子を撮影します。視聴者は、まるで自分の目で見ているかのような没入感を得られます。
- 感情移入しやすい登場人物の設定: 視聴者と同じような旅行者を動画の主人公に設定します。その主人公が、初めて見る景色に驚いたり、地元の人と触れ合って笑顔になったりする姿を見ることで、視聴者は自分の感情を重ね合わせやすくなります。
「紹介する」のではなく「体験させる」。この視点の転換が、動画の訴求力を劇的に変えるのです。
共通点3:ターゲット国に最適化した「戦略的な配信」
三つ目の共通点は、少し制作から離れた視点ですが、決定的に重要です。それは、「作って終わり」にしない、という当たり前のようで非常に難しい課題、つまり「戦略的な配信」です。「戦略的な配信」の基本は、ターゲットとする国の旅行者が、普段どのメディアで情報を収集しているかを正確に把握し、そこに動画を届けることです。国や地域によって、主流のSNSプラットフォームは大きく異なります。
- 欧米・東南アジア圏: Instagram, TikTok, YouTube, Facebook
- 中国: TikTok, 小紅書(RED), 抖音(Douyin), Weibo
- 台湾: YouTube, Facebook, Instagram
- 韓国: Instagram, YouTube, Naver Blog
効果的な配信戦略として、現地のインフルエンサーを起用することも非常に有効です。彼らは、その国の文化やトレンドを熟知しているだけでなく、多くのフォロワーに対して強い影響力を持っています。彼ら自身の視点で動画コンテンツを制作・発信してもらうことで、広告感が薄れ、より信頼性の高いリアルな情報としてフォロワーに届きます。これは、前述したトレンドである「リアルな体験価値」を伝える上でも、極めて効果的な手法と言えるでしょう。
5. まとめ
2025年のインバウンド動画プロモーションを成功させるためには、まず3つの大きなトレンドを理解することが重要です。
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そして、これらのトレンドを踏まえた上で、国籍を問わず海外で再生される動画に共通する、3つの普遍的な法則を実践することが成功の鍵となります。
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これらのポイントは、それぞれが独立しているわけではなく、互いに密接に結びついています。今回ご紹介した要素をパズルのように組み合わせることで、あなたの地域だけの、ユニークで効果的な動画戦略が見えてくるはずです。
動画制作の企画や具体的な戦略でお困りの方は、お気軽にご相談ください。
6.Q&A
Q1: インバウンド動画が近年重要視されている理由は何ですか?
A1: インターネットとスマートフォンの普及により、旅行者が旅の計画段階から旅先での情報収集に動画コンテンツを利用するようになったためです。
Q2: 2025年のインバウンド動画の3つのトレンドは何ですか?
A2: 「縦型ショート動画」、「リアルな体験価値」、「ストーリーテリングと『コト消費』の深化」の3つです。
Q3: 海外で再生される動画制作における「3つの共通点」とは具体的にどのようなものですか?
A3: 「言葉に頼らない『ノンバーバル』な魅力訴求」、「視聴者を『主人公』にする体験型の構成」、「ターゲット国に最適化した『戦略的な配信』」の3つです。
Q4: ノンバーバルな魅力訴求において、どのような要素を活用しますか?
A4: 圧倒的な映像美、心地よい環境音(ASMR)、感情を揺さぶるBGM、人々の自然な表情などを最大限に活用します。
Q5: インバウンド動画を制作する際、ターゲット国の文化や習慣を考慮する必要があるのはなぜですか?
A5: 文化や習慣の違いによって、視聴者に響くコンテンツや表現方法が異なるため、ターゲット国の特性に合わせた動画制作が不可欠だからです。
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