更新日: 医療情報解説には動画活用が有効!活用用途やシーン、注意点を解説

病院経営において、患者さんとの良好な関係構築や集患は重要な課題です。「自院の魅力をもっと伝えたい」「複雑な医療情報を分かりやすく届けたい」とお考えの経営者の方も多いのではないでしょうか。その有効な手段として、近年「動画」の活用が広がっています。
この記事では、医療分野での動画活用のメリット、具体的なシーン、制作のポイント、そして必須となる医療広告ガイドラインの注意点までを、要点を絞って解説します。動画導入検討の参考にしてください。
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目次
1. 医療動画を活用する目的とメリット
医療分野で動画を活用することには、単に情報を伝える以上の多くのメリットがあります。それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
伝達力の向上:複雑な情報を視覚的に分かりやすく
医療情報は専門用語が多く、口頭や文章だけでは伝わりにくいものです。動画ならCGやイラストを使い、複雑な体の仕組みや病気のメカニズム、治療手順などを視覚的に分かりやすく表現できます。これにより患者さんの理解度が向上し、治療への不安軽減にも繋がります。
理解・納得の促進:インフォームドコンセントの質向上
治療方針等を患者さんが理解・納得する「インフォームドコンセント」は非常に重要です。事前に説明動画を見てもらうことで、患者さんは落ち着いて情報を確認し、疑問点を整理できます。これは医師の説明を補完し、より深い理解と納得を促し、信頼関係構築に貢献します。
業務効率化:説明・教育時間の短縮と標準化
患者説明や新人指導にかかる時間は大きなコストです。定型的な説明や基本手技などを動画化し、いつでも視聴可能にすることで、これらの時間を大幅に削減できます。スタッフはより専門的な業務に集中でき、教育内容の質も標準化されます。
広報・ブランディング強化:病院の魅力と信頼性を効果的に発信
動画は、病院の理念や特色、設備、スタッフの人柄といった目に見えにくい価値を効果的に伝えられます。院内ツアーやインタビュー等を通じて、患者さんや地域住民に親近感や信頼感を醸成し、ポジティブなブランドイメージを構築。これは競合との差別化や集患に繋がります。
コミュニケーション円滑化:多言語対応と情報アクセシビリティ向上
外国人患者さんへの対応として、動画に多言語字幕やナレーションを追加すれば、言語の壁を越えて情報を伝えられます。また、ウェブサイト等で公開すれば、時間や場所を選ばず誰でも情報にアクセスでき、より広範なコミュニケーションが可能になります。
2. 医療動画の活用用途
医療動画は、対象者や目的に応じて様々な活用用途があります。
医療動画は、その目的や対象者に応じて、実に様々な紹介内容を展開することができます。ここでは、具体的な用途例を3つのカテゴリーに分けてご紹介します。
【患者さん・地域住民向け:信頼と安心を届ける動画活用】
◯病院・クリニック紹介
病院の理念や特色、設備などを紹介する動画や、院内を案内するバーチャルツアー、医師・スタッフへのインタビューは、来院前の患者さんの不安を和らげ、親近感と安心感を提供します。ウェブサイトや待合室での放映が効果的です。
◯診療科・疾患・治療法の解説
特定の診療科が扱う疾患や治療法について、CGやイラストを用いて分かりやすく解説します。手術の手順や検査の流れなどを視覚的に示すことで、患者さんの理解度を高め、インフォームドコンセントを支援します。
◯疾患啓発・予防情報
生活習慣病予防やがん検診の重要性、感染症対策など、地域住民の健康維持に役立つ情報を、専門医が解説する動画やアニメーションで伝えます。地域の他機関と連携して発信することで、病院の社会的役割もアピールできます。
◯来院・入院案内
受付から会計までの流れ、入院手続きや持ち物、院内ルールなどを動画で説明します。アクセス案内なども加えることで、患者さんの疑問や不安を事前に解消し、スムーズな受診・入院をサポートします。
【医療従事者向け:知識・スキル向上と情報共有を促進する動画活用】
◯教育・研修
基本的な看護手技や接遇マナー、医療機器の操作方法、電子カルテの使い方などを動画マニュアル化します。これにより、教育の質を均一化し、指導者の負担を軽減。学習者は効率的に知識・スキルを習得できます。eラーニングとの連携も有効です。
◯技術共有・カンファレンス
高度な手術手技や貴重な症例などを高画質で記録・編集します。これらの動画は、若手医師への技術継承や院内カンファレンス、学会発表の資料として価値があります。ポイント解説などを加えると学習効果が高まります。
◯院内ルール・安全対策の周知
新規・変更されたガイドラインやプロトコル、医療安全ルール、感染対策などを動画で分かりやすく解説します。事例紹介やクイズ形式を取り入れ、スタッフの理解度を高め、ルールの浸透と遵守を促進します。
◯採用活動
病院の理念や職場環境の魅力、業務内容などを、現場スタッフのリアルな声を通して伝えます。1日の仕事の流れや部署紹介動画なども効果的です。求職者の入職後のイメージを具体化し、ミスマッチを防ぎ、応募意欲を高めます。
【業務効率化・その他】
◯患者説明の補助
診察室や待合室のタブレット等で、検査や治療、薬剤に関する短い説明動画を視聴してもらいます。これにより、医師や看護師は口頭説明時間を短縮でき、より個別的な対応に時間を割けます。患者さんの理解も深まります。
◯多言語対応
増加する外国人患者さん向けに、病院案内や主要な疾患・治療法の説明などを、多言語(字幕・ナレーション)で動画化します。これにより、安心して医療を受けられる環境整備に繋がります。
3. 効果的な医療動画を制作するための重要ポイント
質の高い医療動画を作るためには、いくつかの重要なポイントがあります。これらを意識することで、より効果的で、視聴者に価値を提供できる動画を制作できます。
目的・ターゲットの明確化
動画制作の出発点は、「何を達成したいか(目的)」「誰に届けたいか(ターゲット)」「何を伝えたいか(メッセージ)」「どうなってほしいか(ゴール)」を具体的に定めることです。例えば「初診患者の不安を和らげ、安心して受診してもらう」が目的なら、ターゲット、メッセージ、ゴールも明確になります。この初期設定が具体的であるほど、動画の構成やトーンが定まり、効果的な動画になります。曖昧な設定は、焦点のぼやけた動画を生む原因となります。
情報の正確性とエビデンス
医療情報は人々の健康に直結するため、正確性が絶対条件です。内容は最新の医学的知見や信頼できるエビデンス、診療ガイドライン等に基づき、個人的見解や古い情報は避けましょう。必要に応じて出典を明記し、透明性を確保します。誤情報を防ぐため、院内の専門家による監修体制を構築し、ファクトチェックを徹底することが不可欠です。
倫理的配慮とプライバシー保護
医療従事者として、患者さんの尊厳とプライバシーを最大限に尊重する姿勢が不可欠です。個人が特定できる情報を使用する場合は、必ず本人の明確な同意(書面推奨)を得ましょう。匿名化する場合も細心の注意が必要です。視聴者の不安を過度に煽る表現や、偏った情報は避け、客観的で冷静な情報提供を心がけます。特に患者さんの体験談等の紹介は、表現に十分配慮してください。
分かりやすさの追求
専門用語は避け、平易な言葉で説明することを第一に考えます。専門用語が必要な場合は、注釈や言い換えで補足しましょう。図解、イラスト、アニメーション、CG等の視覚要素を効果的に活用し、直感的な理解を促します。情報を詰め込みすぎず、1動画1メッセージ程度に絞ることも分かりやすさに繋がります。
共感と信頼を呼ぶ構成
特に患者さん向けの動画では、情報伝達だけでなく、視聴者の感情に訴えかけ、共感や信頼を得る工夫が重要です。医師やスタッフの想いが伝わるインタビュー、病院の理念や地域貢献のストーリーなどを盛り込むことで、親近感や安心感を醸成します。「心に届ける」視点を持ちましょう。
映像・音声の品質
低品質な映像や音声は視聴者にストレスを与え、病院のイメージダウンにも繋がります。手ブレのないクリアな映像、ノイズのない聞き取りやすい音声は基本です。適切な照明や音量バランスにも配慮しましょう。また、医療機関として、清潔感のある撮影環境を整えることはもちろん、プロフェッショナルな印象を与えるためにも不可欠です。
最適な表現手法の選択
内容、ターゲット、予算に応じて最適な表現手法を選びます。
- 実写: 院内の雰囲気やスタッフの表情をリアルに伝え、信頼感を醸成します。
- アニメーション/CG: 実写では難しい体内の仕組みなどを分かりやすく視覚化できます。
- インタビュー: 医師やスタッフの言葉で直接メッセージを伝え、信頼感や説得力を高めます。
これらの手法を効果的に組み合わせることで、より魅力的で理解しやすい動画になります。
継続的な活用と改善
動画は「作って終わり」ではありません。公開後は効果測定(再生回数、視聴時間、問い合わせ数など)を行い、分析・評価することが重要です。視聴者の反応や医療情報・ガイドラインの変化等に応じ、内容修正や新規作成など、定期的な見直しとアップデートを行いましょう。このPDCAサイクルが効果を最大化する鍵です。
4. 【重要】医療広告ガイドライン遵守とその他注意点
医療動画の制作・公開において最も重要なのが「医療広告ガイドライン」の遵守です。これは患者さんを守るためのルールであり、違反すると罰則の対象にもなり得ます。
ガイドライン遵守の必要性
虚偽・誇大広告や、患者の不安を煽る表現、他院との比較優良広告などを防ぎ、患者さんが適切な医療を選択できるようにするために定められています。ウェブサイトやSNS上の動画も広告とみなされる場合があります。
特に注意すべき禁止表現(例)
- 「地域No.1」「最高の技術」などの比較優良・誇大表現
- 客観的根拠のない効果・効能の表現(「必ず治る」など)
- 患者さんの体験談(原則禁止。限定解除要件に注意)
- 治療前後の写真(ビフォーアフター。詳細情報の付記が必要な場合あり)
- 費用を過度に強調する表現
広告可能事項と限定解除
広告できる内容(医師名、診療科、費用等)は定められています。一部の禁止事項は、ウェブサイト上で詳細情報(リスク、費用等)を明記するなどの「限定解除要件」を満たせば掲載可能になる場合もありますが、判断は慎重に行う必要があります。
関連法規と制作会社連携
医療法、個人情報保護法、著作権法なども関連します。外注する場合は、制作会社がこれらの法規、特に医療広告ガイドラインを熟知しているか必ず確認しましょう。
5. 医療動画制作の外注:費用感と失敗しないパートナー選び
専門性が高く、ガイドライン遵守も求められる医療動画は、プロへの外注が有効です。
外注のメリット
外注には、専門知識に基づいた高品質な動画制作、効率的な進行、客観的な視点の導入、そして何より医療広告ガイドライン遵守によるリスク低減といったメリットが期待できます。
パートナー選びのポイント
専門知識の監修を行った上で、失敗しないパートナー選びにはいくつかのポイントを押さえることも重要です。
- 課題解決に繋がる企画・提案力
- 医療広告ガイドラインへの理解と対応力
- 円滑なコミュニケーションと柔軟性
- 透明性の高い見積もりと費用対効果
費用相場の目安
費用相場については、動画の種類、長さ、表現方法(実写、アニメーション、CG等)によって大きく変動します。一般的に、単純なインタビュー動画は比較的安価ですが、CGを多用する説明動画などは高額になる傾向があり、数十万円から数百万円の範囲が目安となります。必ず複数の会社から見積もりを取り、内容と費用を十分に比較検討することが重要です。
6. まとめ:医療動画で実現する、より良い医療コミュニケーション
医療動画は、複雑な情報を分かりやすく伝え、患者さんの理解と安心感を深める強力なツールです。院内教育の効率化や病院のブランディングにも貢献します。
制作にあたっては、目的を明確にし、正確性・倫理性を担保し、分かりやすさを追求することが重要です。そして何より、医療広告ガイドラインの遵守は必須です。
信頼できる制作パートナーと連携し、動画を戦略的に活用することで、患者さんとのより良いコミュニケーションを築き、病院の発展に繋げることができます。ぜひ、貴院での動画活用をご検討ください。
7.Q&A
Q1: 医療動画の最大の利点は何ですか?
A1: 複雑な医療情報を視覚的に分かりやすく伝え、患者さんの理解と安心感を深められる点です。
Q2: インフォームドコンセントにおいて動画はどう役立ちますか?
A2: 事前説明により患者さんの理解を助け、より質の高い同意形成を支援します。
Q3: 動画制作で最も重視すべき点は何ですか?
A3: 内容の正確性とエビデンスに基づいた情報提供、そして専門家による監修です。
Q4: 医療広告ガイドラインで特に禁止されている表現は何ですか?
A4: 比較優良広告、誇大広告、客観的根拠のない表現、患者さんの体験談(原則)などです。
Q5: 動画制作を外注する際のパートナー選びの決め手は?
A5: ガイドラインへの理解度、企画提案力、円滑なコミュニケーションと柔軟性などが重要です。
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