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更新日: 【香盤表無料テンプレート配布】香盤表とは?スムーズな撮影進行を実現する準備ポイントを解説

「香盤表」とは、映画やドラマなどの撮影を行なう際、事前に撮影の順序や各シーンごとの登場人物、必要な衣装・小道具などがわかるようまとめらたスケジュール表のことをいいます。 企業動画など、大がかりな撮影でなかったとしても、このようなトラブルは絶対に避けたいと考えるでしょう。

「次の出演者がまだ準備できていない!」
「このシーンで使う商品はどれ?」
「撮影が終わってから、カットの撮り忘れに気づいた…」

これらのトラブルを防ぐために重要となるのが、「香盤表(こうばんひょう)」なのです。この記事では、スムーズな撮影を実現する「香盤表」の重要性から、作成のコツまで解説します。さらに、すぐに使えるオリジナルの香盤表テンプレートも無料で配布しますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

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1.そもそも香盤表とは?撮影における役割

「香盤表」という言葉を初めて聞いた方もいらっしゃるかもしれません。香盤表とは、一言でいえば「撮影全体の設計図」です。具体的には、「いつ、どこで、誰が、何を、どのように撮影するか」という情報を、時系列や段取りに沿って一枚の表にまとめたものを指します。脚本(シナリオ)が物語の筋道を示すものだとすれば、香盤表は「その物語をどういう順番で、どういう段取りで撮影していくか」という、制作現場の具体的な行動計画書なのです。なぜ香盤表はそれほどまでに重要なのでしょうか。その理由は、大きく分けて3つあります。

行動計画の明確化

香盤表の最も基本的な役割は、撮影に関わる全員の行動計画を明確に示すことです。具体的には、「撮影日の何時に、どこに集合し、どのシーンから、誰が、何を使って撮影するのか」という、その日の動きの全てが書かれています。これがあることで、役者さんは自分の出番に合わせて準備ができ、スタッフは次に何をすべきかが一目瞭然になります。全員が同じ計画書を共有することで、無駄な待ち時間や確認作業が減り、撮影そのものに集中できる環境が生まれるのです。

段取りの最適化

映像制作において、時間と予算は常に有限です。香盤表は、この貴重なリソースを最大限に活用するための「段取り最適化ツール」としての役割を担います。脚本は物語の順番に書かれていますが、撮影をその順番通りに行うのは非常に非効率です。例えば、同じカフェで撮影するシーンが物語の最初と最後にあった場合、日を改めて二度も同じ場所で撮影するのは時間も費用も無駄ですよね。制作担当者は、香盤表を作成する過程で、

  • 同じ場所で撮れるシーン
  • 同じ役者さんが出演するシーン
  • 同じ衣装で撮れるシーン 

をパズルのように組み合わせ、最も効率的な撮影スケジュールを組み立てます。この「段取り」こそが、撮影全体の生産性を飛躍的に高める鍵なのです。

トラブルの防止

撮影現場にトラブルはつきものです。急な天候の変化、機材の故障、キャストの体調不良など、予期せぬ事態はいつでも起こり得ます。精度の高い香盤表は、こうしたトラブルに対するリスクヘッジにもなります。

撮り漏れの防止 撮影すべきカットがすべてリストアップされているため、撮り忘れがなくなります。
準備不足の防止 各シーンで必要なものが明記されているため、「小道具を忘れた」「衣装が足りない」といった準備不足を防げます。
柔軟なスケジュール変更 雨が降った場合に備えて、あらかじめ室内で撮影できるシーンをリストアップしておく(「雨香盤」といいます)など、代替案を事前に計画できます。

このように、香盤表は単なるスケジュール表ではなく、撮影というプロジェクトを成功に導くための、極めて重要なマネジメントツールなのです。

2.香盤表に記載する項目を徹底解説

  

香盤表は、一見すると文字と数字が並んだ複雑な表に見えるかもしれません。しかし、その一つひとつの項目には、撮影を円滑に進めるための明確な役割と「意味」が込められています。各項目が「誰のための、何の情報なのか」を理解することで、香盤表は単なるスケジュール表から、現場を動かす強力なコミュニケーションツールへと変わります。ここでは、香盤表の主要な項目を分解し、その役割を具体的に見ていきましょう。

シーン番号(カット番号)

香盤表で最も基本となり、全ての情報の「住所」や「管理番号」の役割を果たすのがシーン番号(Scene Number)です。これは、脚本(シナリオ)に書かれている物語の場面ごとの番号(例:Sc.1、Sc.2…)と完全に連動します。さらに、一つのシーンをカメラの位置や画角を変えて複数回撮影する場合、それをカット(Cut)という最小単位に分け、カット番号(例:Cut.1、Cut.2…)を振ります。

この番号があることで、チーム全員が「今、物語のどの部分を撮影しているのか」を正確に把握できます。監督が「次はシーン5のカット2を撮ります!」と指示を出せば、全員が脚本や絵コンテの同じ箇所を参照できるのです。撮り漏れを防ぐチェックリストとしての役割も非常に重要です。この番号は、後述する全ての資料と情報をリンクさせるための「共通言語」となります。

更新日

香盤表を作成・更新した日付やバージョンを記載します。(例:2025/06/27、仮/決、Ver.1.0)

撮影計画は、準備を進める中で頻繁に変更や修正が加えられます。この更新日とバージョン情報があることで、チーム全員が「最新版の正しい情報」を共有しているかを確認できます。「古いバージョンの香盤表を見て動いてしまった」という、現場での致命的なすれ違いを防ぐための非常に重要な項目です。

撮影場所

そのシーンを撮影する具体的な場所を記入します。この時、「渋谷」のような大まかな地名ではなく、「〇〇カフェ(テラス席)」「△△公園(西口の噴水前)」のように、誰が見ても迷わないレベルまで具体的に書くことが重要です。この情報は、様々な部署の「準備」の起点となります。

  • 制作部は、この情報をもとに撮影許可の申請や、近隣への挨拶回りを行います。
  • 技術部(カメラ・照明・録音など)は、機材の搬入経路や電源の確保、ライティング設計、現場の広さを考慮した機材選定の計画を立てます。
  • 演出部は、ロケハン(ロケーション・ハンティング)で下見した際の情報をここに集約し、当日の動きをシミュレーションします。

    出演者

    そのシーンに出演するキャストの情報を記入します。一般的には、役名と演者名を併記すると、どのスタッフにとっても分かりやすくなります。この欄は、単に出演者本人が自分の出番を確認するためだけのものではありません。

    • 助監督は、この欄を見て出演者の現場への呼び込みや段取りの説明を行います。
    • 制作部は、出演者の拘束時間を管理し、休憩や食事の手配を計画します。また出番数分前に出演者を控え室へ呼びに行くなどの準備を行います。
    • 衣装・メイク担当は、このシーンで準備すべき人数と対象者を正確に把握できます。

    さらに出演者の控え室・入り時間などの情報を記載しておくと、出演者本人や準備や誘導を行うスタッフにとって、よりわかりやすい香盤となります。

    スタッフ

    現場の責任者の氏名と携帯番号もを記載します。また別紙のスタッフリストで、監督、プロデューサー、カメラマン、制作担当など、各部署の人数と氏名をリストアップします。現場での急な確認事項や、機材トラブル、体調不良者の発生といった不測の事態が起きた際に、迅速に責任者へ連絡を取るための生命線です。また人数が明確になっておくことで、資料の用意やケータリング準備などもスムーズに行える上、現場の安全管理にもなります。

    衣装・メイク

    出演者がそのシーンで身につける衣装や、施されるメイクの詳細を記入します。ここでも「具体性」が鍵となります。映像作品において、物語の時間の流れと見た目を一致させる「つながり」は非常に重要です。例えば、あるシーンで着ていたジャケットを、物語上は数分後のはずの次のシーンで着ていなかったら、観客は混乱してしまいます。この欄は、衣装・メイク担当への指示書であると同時に、その「つながり」を管理するための重要な記録となります。

    📌 記入例

    「黒のスーツ(Yシャツは第2ボタンまで開ける)」「パーティー用ドレス(髪はアップスタイル、赤いリップ)」のように、服装だけでなく着こなしや髪型、メイクの状態まで書き込むことで、シーンごとのルック(見た目)を正確に再現できます。

    撮影内容

    そのシーンやカットで「何が行われるか」という、物語のアクションや要点を簡潔にまとめる欄です。脚本のセリフやト書きを全て書き写す必要はありません。撮影は多くのカットを順番を変えながら行うため、スタッフは「今、物語のどういう文脈の、何のためのカットを撮っているのか」を見失いがちです。この欄にシーンの要約があることで、全スタッフが撮影の「目的」を素早く共有できます。

    📌 記入例

    「太郎が花子に告白し、指輪を渡す」「犯人がPCのデータを消去し、窓から脱出する」といったように、そのシーンの核となる出来事を書きます。これにより、役者は感情のゴールを、技術スタッフは撮るべきポイントを瞬時に理解できます。

    備考

    上記のどの項目にも当てはまらない、しかし撮影を進行する上で重要な特記事項を記入するための、いわば「魔法のポケット」です。この欄を使いこなせるようになると、現場のトラブルを大幅に減らすことができます。各部署への細かな申し送りや、注意喚起、共有事項などを集約する場所です。機材/演出/小道具などを記載します。

    📌 記入例

    • 機材関連:「ドローン使用」「クレーン撮影あり」
    • 演出関連:「このシーンはスローモーションで撮影」「雨降らしの特効あり」
    • 人員関連:「エキストラ20名参加」
    • その他 :「近隣への騒音に注意」「ペットボトルのお茶(ラベルなし)を用意」
    • 資料連携:「詳細は絵コンテP.8参照」「美術資料No.5を確認」

      スタジオ情報

      撮影を行うスタジオの名称、住所、電話番号、そして当日の担当者名などを記載します。別紙にて最寄り駅からスタジオまでの案内図も、初めてそのスタジオに来るスタッフやキャストが、迷わず時間通りに到着できるようにするための基本情報です。また、当日のスタジオの間取りと、どの部屋が撮影場所なのか、控え室なのかなども明記しておくと、スムーズな進行に役立ちます。

      3.撮影を成功に導く!プロが実践する香盤表作成の3つのコツ

      基本的な書き方がわかったところで、最後に、あなたの香盤表を「ただのスケジュール表」から「現場を動かす最強のツール」へと進化させるための、プロが実践する3つのコツをご紹介します。

      時系列は無視!「段取り効率」で組む

      初心者が最も陥りやすい間違いが、脚本のシーン番号順に香盤表を作ってしまうことです。先ほども少し触れましたが、これは非常に非効率です。プロの現場では、撮影する順番(=香盤表の順番)は、段取りの効率を最優先して決定します。これが「順撮り(じゅんどり)」の考え方です。

      場所でまとめる 同じ撮影場所(ロケ地)で行うシーンをすべて抜き出し、グルーピングします。これにより、場所の移動時間やコストを最小限に抑えます。
      キャストでまとめる 同じ場所の中でも、出演するキャストが同じシーンをまとめます。これにより、キャストの拘束時間を短縮できます。
      時間設定や衣装でまとめる 「昼」のシーンをまとめて撮ったり、「同じ衣装」のシーンをまとめて撮ったりすることで、照明の再セッティングや着替えの手間を省きます。

      例えば、「主人公の部屋」という場所で「朝(パジャマ姿)」「昼(私服姿)」「夜(パジャマ姿)」のシーンがあったとします。この場合、「朝」と「夜」のシーンはパジャマ姿で撮影できるので、これらを連続で撮影した方が効率的です。脚本の時系列を一度バラバラにし、効率という観点からパズルのように組み立て直す。これが、デキる制作担当者の腕の見せ所であり、スムーズな撮影を実現する最大の鍵です。

      情報は「具体的」に。誰が見ても分かる言葉で書く

      香盤表は、多様な専門性を持つスタッフ全員が見るものです。だからこそ、誰が読んでも同じように解釈できる、具体的で分かりやすい言葉で書く必要があります。曖昧な表現は、現場での混乱や認識のズレを生む原因になります。

      • NG例: 小道具「カバン」
      • NG例: 内容「太郎が怒る」
      • NG例: 備考「ドローン使用」

       

      ▶︎

      • OK例: 小道具「A4サイズが入る黒のビジネスバッグ」
      • OK例: 内容「太郎が机を叩いて激しく怒る」
      • OK例: 備考「ドローンで建物の俯瞰ショットを撮影」

        このように、少し情報を付け加えるだけで、他のスタッフがすべき準備は格段に具体的になります。美術スタッフは正確なカバンを用意できますし、音声スタッフは机を叩く音を録る準備ができます。特に、数字や固有名詞は正確に記入することを心がけましょう。「このくらい書けば伝わるだろう」という思い込みは禁物です。初めてその撮影に参加するスタッフの視点に立って、「これなら何も聞かなくても準備できるか?」と自問自答しながら書くことが大切です。

        他資料との情報・名称などを必ず統一させる

        香盤表はプロジェクトの司令塔ですが、それ単体で全ての情報を網羅することはできません。絵コンテ、脚本、美術資料、衣装資料など、他の詳細な資料と連携することで、初めてその真価を発揮します。そして、その連携を可能にする大前提が「情報と名称の統一」です。

        なぜ「統一」が必要なのか?

        プロジェクト全体で「共通言語」を使うためです。もし、香盤表では「主人公」、脚本では役名の「鈴木太郎」、キャスト表では演者名の「山田様」と、一人の人物を指す言葉がバラバラだったらどうでしょう?必ずどこかで混乱や勘違いが生まれます。情報の名称が統一されていないと、スタッフは「この”ジャケットA”って、どの資料に載っているものでしたっけ?」と探すことに時間を取られ、作業効率は著しく低下します。

        具体的に何をどうやって「統一」するのか?

        プロジェクトの開始時に、以下のルールを全員で共有しましょう。

        登場人物の名称統一 香盤表や関連資料で人物を指すときは、必ず「役名(例:鈴木太郎)」で統一するなど、ルールを決めます
        場所の名称統一 香盤表に書く「撮影場所」の名称(例:「鈴木家・リビング」)と、ロケハン資料や美術資料での呼び名を完全に一致させます。
        小道具・衣装の名称統一 同じように見えても、それぞれに固有名詞を付けます。「ジャケットA」「ジャケットB」のように区別し、香盤表にも衣装資料にも同じ名称を記載します。
        シーン番号の統一

        香盤表、脚本、絵コンテ、すべての資料で「シーン番号(例:Sc-01)」を絶対的な基準にします。Sc-01と言えば、チームの誰もが「あのカフェで、太郎と花子が初めて会うシーンだ」と、同じ場面を即座に思い浮かべられる状態を作ることが、情報管理のゴールです。

        4.まとめ

        香盤表は、撮影現場を円滑に進めるための「撮影全体の設計図」であり、行動計画の明確化、段取りの最適化、トラブル防止に不可欠なツールです。シーン番号、撮影場所、出演者、衣装・メイク、内容、備考といった各項目には明確な意味と役割があり、これらを理解することで香盤表は強力なコミュニケーションツールとなります。

        成功の鍵は、「段取り効率」を最優先したスケジュール作成、誰が見ても分かる具体的な記述、そして他資料との情報・名称の徹底的な統一です。これらのコツを実践し、香盤表を最大限に活用することで、撮影は格段にスムーズになり、より質の高い作品制作へと繋がるでしょう。ぜひ、この記事で配布しているテンプレートを活用し、撮影現場を成功に導いてください。

        5.香盤表のテンプレート無料ダウンロードはこちら

        この記事で紹介した必要な項目を網羅した香盤表のテンプレートになります。ダウンロードは無料です。このまま使用しても、好みに合わせてアレンジを加えてもOKです。是非ご活用ください。

         

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