更新日: YouTubeライブ配信のはじめ方:企業のための準備・設定・運用戦略

企業のデジタルマーケティングにおいて、YouTubeライブ配信は今や必須の集客ツールです。しかし「やり方がわからない」「手間がかかる」「炎上リスクが怖い」とためらう企業担当者も多いでしょう。本記事では、ライブ配信で企業のブランド価値を高め、具体的なビジネス成果を上げるために必要な「準備」「設定」「運用戦略」を紹介します。
※2025年10月現在の情報です
目次
1.ライブ配信の戦略策定
ライブ配信を始める前に、必ず「なぜ配信するのか?」という目的を明確にしましょう。企業配信の成否は、戦略設計の段階で決まります。
ライブ配信の企業活用事例
ライブ配信は、一方的な情報発信ではなく、視聴者との双方向なコミュニケーションを実現します。
活用目的 |
具体的な配信内容 |
期待できる成果 |
リード獲得・育成 |
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質の高い見込み客リストの獲得、商談化率の向上 |
ブランド認知度向上 |
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企業の専門性(権威性)の確立、チャンネル登録者増加 |
エンゲージメント強化 |
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既存顧客との関係強化、ロイヤリティ向上 |
配信目標の設定とKPI
目標を曖昧にせず、具体的なKPI(重要業績評価指標)を設定し、PDCAを回すことが費用対効果(ROI)最大化につながります。
- リード獲得が目標の場合: ライブ配信の概要欄(説明欄)やチャットに設置した資料ダウンロードURLへのクリック率、アンケート回答率をKPIとする。
- 認知度向上やブランディングが目標の場合: 同時接続者数、高評価数、チャット件数、そしてチャンネル登録者の増加率をKPIとする。
ターゲットと配信内容の決定
誰に何を伝えたいかを明確にすることで、視聴維持率とコンバージョン率が向上します。
- ターゲット特定: 視聴者は企業の既存顧客か、新規の見込み客か、採用候補者か。
- ニーズの把握: ターゲットが抱える課題(ペインポイント)を解決する情報を配信の中心に据える。
- 形式の選定: 専門的な内容はウェビナー形式、親近感を高めたい場合は座談会形式など、目的に合った形式を選びましょう。
2.ライブ配信のやり方【準備編】:機材と環境構築
ここでは、YouTubeライブ配信のやり方の土台となるアカウント設定と環境整備について解説します。
配信アカウントの準備と設定(重要なポイント)
まず、企業チャンネルでライブ配信を有効にする必要があります。
- チャンネル認証(電話番号認証): YouTube Studioで電話番号を使った認証を行い、15分以上の動画アップロードとカスタムサムネイルの利用を可能にします。
- ライブ配信の有効化: 初回は有効化から24時間の待機時間が発生します。配信したい日の前日までに必ず設定を完了させてください。
- 配信制限の確認: チャンネル登録者数が1,000人以上でないと、スマートフォンからのライブ配信はできません。ただし、PCとエンコーダー(OBSなど)を使用すれば、登録者数に関わらず配信が可能です。企業配信ではPCからの高画質配信が基本となるため、この点はクリアできます。
企業向け推奨機材リスト(予算別)
企業の信頼性を担保するため、最低限のマイクへの投資を推奨します。
予算レベル |
機材構成例 |
補足事項 |
ミニマム |
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機動性重視。音質は必ず外部マイクで担保。 |
推奨レベル |
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企業のウェビナーで最も利用される標準構成。画質・音質のバランスが良い。 |
プロレベル |
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高度な製品紹介やプロモーション映像と同レベルの品質が求められる場合に推奨。 |
配信環境の整備
- インターネット接続: 配信中に途切れるリスクを避けるため、なるべく有線LAN接続を利用してください。アップロード速度が最低10Mbps以上あるか確認しましょう。
- 背景と照明: 企業のブランドイメージを損なわないよう、情報漏洩の可能性があるものを映さない、整理された背景を選定します。顔色が良く見えるように照明を配置するだけでも、プロフェッショナルな印象は格段に上がります。
3.ライブ配信のやり方【設定・実行編】:手順とツール
ライブ配信の心臓部となる、具体的な設定と配信当日のオペレーションを解説します。
配信スケジュールの設定(YouTube Studio操作)
配信予定時刻の数週間前にイベントを作成し、集客を開始します。
①「作成」→「ライブ配信を開始」を選択し、エンコーダ配信(ストリーミングソフトウェア)を選びます。
②タイトル・サムネイル・概要欄の作成:
魅力的なタイトル(例:【〇〇業界向け】限定ウェビナー)と、視聴者が見たくなる高解像度のサムネイルを設定します。
③概要欄の最適化:
- ライブの目的と内容を明記する。
- 必ず資料請求やサービスサイトへのリンク(CTA)を最上部に設置する。
- 関連性の高いキーワード(例:YouTube ライブ配信 やり方、企業集客、ウェビナー)を含める。
④公開設定: 「公開」または「限定公開(特定の人だけ招待)」を選択します。
配信ツールの選定と接続方法
企業の配信では、画面共有やテロップ表示が比較的簡単に行えるOBS Studioなどのエンコーダーソフトウェアの利用を推奨しますが、複雑な構成になってくると扱いは難しくなります。失敗の許されない企業の配信においては、配信を行っている制作会社等に依頼をすることも検討した方がよいでしょう。
【OBS Studio(無料)】
- YouTube Studioで取得したストリームキーをOBSの設定画面に入力します。
- カメラ、マイク、画面キャプチャなど、配信に必要な要素を「ソース」として追加・配置します。
- YouTube Studioの「ライブ管理画面」でプレビューを確認し、問題なければOBS側で「配信開始」ボタンを押します。
配信当日の具体的なオペレーション
- テスト配信の実施: 本番開始1時間前に必ず非公開で短時間のテスト配信を行い、音声のズレ、画質、PCへの負荷を最終確認します。
- モデレーターの配置: 企業のライブ配信では、コメント欄を監視し、不適切なコメントを削除したり、視聴者の質問を拾い上げて登壇者に伝えたりするモデレーター(管理者)を必ず配置します。
- 挨拶とCTAの促し: 配信開始時と終了時に、視聴者への感謝と共に、概要欄のリンクから行動を促すCTAを具体的な言葉で伝えましょう(例:「資料は概要欄からダウンロードできます」)。
4.企業集客を加速させる「運用戦略」と注意点
YouTubeライブ配信のやり方で最も重要なのは、配信後の「集客」と「顧客誘導」です。
視聴数を最大化する集客戦略
「YouTubeでたまたま見つけてもらう」のを待つのではなく、能動的に集客します。
- 事前告知の徹底: 配信URLを確定後、自社Webサイトのトップページ、メールマガジン、各種SNS(X、Facebook、LinkedInなど)で複数回告知します。
- YouTubeコミュニティ機能の活用: チャンネル登録者に向けて、配信予定の告知やリマインドを投稿します。
- ショート動画での誘導: 配信内容のハイライトやティザー映像をYouTubeショート動画として作成し、「全編はライブ配信で!」と誘導することで、新規視聴者層にアプローチできます。
視聴者を「見込み客」に変える誘導設計
ライブ配信を「視聴」で終わらせず、「顧客行動」につなげる設計が必要です。
- 概要欄CTAの徹底: 資料請求、無料相談、サービスサイトへのリンクを最上部に固定します。
- チャット欄への固定表示: 配信中、モデレーターが重要なリンクをチャット欄に繰り返し投稿(または固定表示)します。
- アーカイブ活用: ライブ終了後もアーカイブ動画はそのまま残ります。動画の冒頭や途中に「期間限定の特典情報は概要欄へ!」といったテロップやカードを設定し、継続的なリード獲得源として活用しましょう。
企業として必須の「リスク対策とコンプライアンス」
企業の信用を守るため、配信前に必ず確認すべきリスク管理のポイントです。
- 著作権・肖像権の順守:BGMを使用する場合は、YouTubeの著作権フリー音源ライブラリ(YouTube Audio Library)から選ぶか、著作権フリーの素材を購入したもののみを使用します。また、配信中に他社のロゴや製品写真などを無断で使用しないよう注意します。
- コメント管理とモデレーター: 悪意のあるコメントや誹謗中傷、機密情報に関わる質問などに対しては、モデレーターが即座に非表示・削除できる体制を整えます。事前にコメント対応のガイドラインを策定しておきましょう。
5.まとめ
本記事では、YouTubeライブ配信のやり方から、企業として成果を出すための運用のポイントを紹介しました。企業のライブ配信は「高品質なコンテンツの配信」と「視聴者を顧客に変える動線設計」の二点が成功の鍵となります。まずは機材をシンプルに抑え、配信目標とKPIを明確に設定し、テスト配信から始めてみましょう。
ただ、実際の配信にあたって「どのような企画が効果的か」「複雑な機材設定をどうすべきか」といった課題を抱える方もいるかもしれません。
そうした不安を解消し、スムーズに配信をスタートさせたい場合には、動画制作会社によるサービスや配信サポートの活用がおすすめです。制作会社を活用することで、視聴者を惹きつける企画構成の相談から、安定した機材環境の構築、効率的な運用方法、配信録画の二次流用まで、幅広いサポートを受けられます。
YouTubeライブ配信を本格的に活用し、成果につなげたいとお考えの企業の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
6.Q&A
Q1. チャンネル登録者数が1,000人未満でもライブ配信はできますか?
A. スマートフォンからの配信は制限されますが、PCとOBS Studioなどのエンコーダーソフトウェアを使用すれば可能です。企業配信では高画質配信が基本となるため、PCからの配信を推奨します。
Q2. ライブ配信で最も重視すべき機材は何ですか?
A. 企業の信頼性を高めるために、画質以上に「音質」が重要です。最低限でも外部USBマイクへの投資を推奨します。雑音やハウリングはプロフェッショナルな印象を大きく損ないます。
Q3. 視聴者をリード(見込み客)へ変えるための具体的な方法は?
A. 概要欄の最上部に資料請求やアンケートへのリンク(CTA)を必ず固定してください。また、配信中もモデレーターがチャット欄でリンクを繰り返し投稿し、具体的な行動を促しましょう。
Q4. 配信中の炎上や不適切なコメントにどう対応すべきですか?
A. モデレーター(管理者)を配置し、不適切なコメントを即座に非表示・削除できる体制を整えます。また、事前にコメント対応のガイドラインを策定しておくことが重要です。
Q5. ライブ配信を告知するのに最も効果的な方法は?
A. 自社のメールマガジンや既存顧客リストへの告知が最も高い集客効果を生みます。YouTube内の施策としては、配信内容のハイライトをショート動画として作成し、本編へ誘導する方法が新規層へのアプローチに有効です。
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