更新日: YouTubeショート動画のメリット・デメリット、収益化まで解説
世界中のSNSを中心に短い尺のショート動画が流行しています。個人、インフルエンサーだけではなく企業も続々と参入しています。その中でもこの記事では、「YouTubeショート」動画について、メリット・デメリット、収益化の仕組みなどを解説します。※2023年8月現在の仕様に基づいた内容です
目次
1.YouTubeショート動画とは
YouTubeショート動画とは、最大60秒までのスマートフォン視聴をメインとした縦型の動画を投稿・閲覧できるサービスです。似たサービスにはTikTokがあります。尺の短い縦型の動画は、投稿の気楽さや閲覧する側は中毒性もあり、多くのユーザーから人気を集めているのが現状です。この特長を活かし企業のマーケティングでも導入され活用も進んでいます。
また、ひとつのコンテンツとしてだけでなく、そのチャンネルの登録者数を増やすための起爆剤としても活用されています。YouTubeショート動画は、通常のYouTubeの動画と同じく「高評価ボタン」「コメント」などの機能も搭載されており、コミュニケーションツールとしても利用可能です。YouTubeショートは、スマートフォンとYouTube アプリの「YouTubeショートカメラ」があればだれでも作成・投稿できます。視聴する場合は、YouTubeアプリの「YouTubeショート」という専用のタブから閲覧できます。
2.YouTubeショート動画のメリット
いまでは企業も参入するほど、YouTubeショート動画の注目度が高まっています。その理由は、収益化や手軽さだけではないメリットがあるからです。ここからは、代表的なメリットを4つご紹介します。
収益化がされている
2023年2月から一定の条件を満たすことで、YouTubeショートにおいても収益化が可能となりました。1再生あたりの収益は0.003円〜0.01円程度で、通常のYouTube動画よりも収益性は低めです。しかしYouTubeショート動画の拡散に成功できれば、ユーザーがYouTubeチャンネルに流入し、チャンネル自体の収益化につながるといったメリットが期待できます。
制作・投稿がしやすい
YouTubeショート動画は、動画のクオリティを重視するよりも、手軽に投稿できる点がメリットです。Instagramのストーリーズやリール、TikTokの影響もあり、むしろ自然体な動画のほうが親近感が湧きやすく、好まれやすい傾向にあるといえます。作り方も簡単で、BGMやテキストの追加、動画再生速度の変更も直感的に操作することが可能なため、初心者でも気軽にショート動画作成にチャレンジできます。動画のクオリティにこだわりすぎず、撮影したり編集したりできるようになると、制作にかかる時間や手間を大幅に短縮できるため、制作側にとっては大きなメリットとなります。
一方、通常版のYouTube動画は、編集技術を学べる機会が増えたこともあり、TV番組のような高クオリティの動画が増えてきています。そのため、低クオリティのものや標準的なクオリティのものは埋もれてしまうことも少なく無い状況です。そういった点からも、YouTubeショート動画は投稿までのハードルが低くコストもかからないことが大きなメリットといえるでしょう。
再生回数やチャンネル登録者数を増やしやすい
YouTubeアプリを開くと、上部にYouTubeショート動画がたくさん表示される仕様となったことで、より不特定多数のユーザーに視聴されやすくなりました。YouTubeのアルゴリズムは、ユーザーが登録しているチャンネルや過去に視聴した動画履歴に関連するコンテンツが表示される仕様です。YouTubeショート動画の活用により、多くのユーザーに動画を認知してもらえるチャンスが増えるだけでなく、提供する動画に関心度の高いユーザーにリーチさせやすくなります。そのため、登録者数が少ないチャンネルであっても、コンテンツがユーザーの関心とマッチしていれば再生回数も増え、登録者数を伸ばしやすくなるでしょう。
拡散力がある
YouTubeショート動画の特徴の一つである「不特定多数のユーザーにコンテンツを届けられる」ということは、コンテンツが良ければさらにSNSで拡散される可能性が高いです。拡散に成功できれば、チャンネル登録者数増加につながり、収益も伸ばしやすくなります。拡散させるにはさまざまなコツが必要ですが、記事の後半に動画制作のポイントをまとめているので参考にしてみてください。
3.YouTubeショート動画のデメリット
YouTubeショート動画はメリットばかりではありません。デメリットも把握しておき、本当に導入が必要かどうか見極めることが大切です。
視聴者層が変化する
YouTubeの認知度はシニア層の間でも高まり、ユーザーも増えてきていますが、まだまだ若年層の割合が多い状況です。YouTubeショート動画の場合、視聴者の年齢層はさらに低くなるため、マーケティングの対象となるサービスや商品によっては、ターゲットが適さないケースも少なくありません。また普段とは異なる視聴者層にリーチできることはメリットですが、デメリットにもなり得ることも知っておく必要があります。幅広い層のユーザーから動画再生されることで、通常の動画には興味を持たないチャンネル登録者が増えることもあるからです。そのため、通常の動画に関心のない登録者数が増えすぎてしまうと、通常動画およびチャンネル全体のクリック率が下がってしまう可能性があります。
通常の動画と比べ収益は低い
通常のYouTube動画と比べると、YouTubeショート動画は尺が短い分収益性も低くなるため、ショート動画だけでの収益は見込めません。通常の動画では、基本的にチャンネルの登録者数や再生回数に応じて単価が決まり、広告収入が支払われます。1再生あたりの単価は約0.05円から0.7円だといわれています。一方、YouTubeショート動画の1再生あたりの収益は0.003円〜0.01円程度です。また収益化の仕組みは2023年2月から始まったため発展途上な側面も強く、マーケティングに活用するには一般動画との併用が欠かせません。YouTubeショート動画でユーザーとのつながりを作って通常の動画に流入させ、そこからWebサイトやECサイトに飛んでもらうという流れが理想です。そのため、ショート動画からの誘導先となる通常の動画も用意しておくようにしましょう。
チャンネルの通常の動画へ繋げにくい
ショート動画から流入したチャンネル登録者は、基本的に通常の動画をほとんど視聴しない傾向にあります。そのためショートフィードから登録者が増えたとしても、通常動画はほとんど再生されないといったリスクがあります。動画をアップすると登録者にその動画がリーチされますが、その登録者はショートフィードからしか動画を見ないため、通常動画のクリック率が落ちてしまうでしょう。そうすると通常動画をアップしても再生されず、クリック率が落ち続けるため、インプレッションも伸びない、という現象に陥ります。たとえば登録者が1,000人以上いても、再生回数が3桁にも届かないといった現象に陥っている場合、ショート動画から増やしすぎた登録者が原因になっているケースも珍しくありません。
4.収益化
YouTubeショート動画でも収益化ができるようになりましたが、具体的にいくらぐらいなのか気になるという人も多いのではないでしょうか。ここからは、収益化の仕組みについて詳しく解説します。
収益の仕組み
YouTubeショート動画の収益は、動画の間に再生される広告を視聴することで発生する広告収益を集計し、ライセンス費用などの調整をしたのち、クリエイターに分配される仕組みです。具体的な収益化の流れは、以下のとおりです。
- 全体の広告収益がクリエイタープールに一つにまとめられる
- 音楽ライセンス費用を差し引いてクリエイターへの収益を再計算する
- クリエイタープールからクリエイターに報酬を割り当てる
- 収益分配率を適用された金額がクリエイターに支払われる
クリエイタープールに集まった広告収益は、楽曲の使用状況などを確認し、著作権料などを差し引いた額を全クリエイターの収益として一つにまとめられます。ショート動画の総視聴回数に対して、そのクリエイターのショート動画の再生回数が何%にあたるか計算され、その割合が割り当てられます。最後に、クリエイターが受け取る収益に45%という収益分配率が適用され、広告収益が支払われる仕組みです。
1再生あたりの収益
あくまで目安ですが、クリエイターが公表している情報によると、通常のYouTube動画が0.05〜0.7円程度といわれています。反対にYouTubeショート動画は、0.003〜0.01円程度といわれています。YouTubeショート動画は再生数が伸びやすい魅力はあるものの、収益率を考えると通常の動画と大きく差が出てしまうのが難点です。
収益化の条件
収益化の条件は、以下のとおりです。※2023年8月現在
- チャンネル登録者1,000人以上
- 「直近12か月間の有効な公開動画の総再生数4,000時間」または「直近90日間の有効な公開ショート動画の視聴回数1,000万回」
- YouTubeの収益化ポリシー・ガイドを遵守している
基本的に、通常の動画の収益化条件と同じです。
5.YouTubeショート動画制作のポイント
YouTubeショート動画を制作する際は、ただやみくもに作るだけでは、効果は期待できません。制作時に押さえておきたいポイントを3つ紹介します。
冒頭にインパクトのある動画に
短い尺の動画は、冒頭の3〜5秒で視聴者にインパクトを与えることが大切です。冒頭で視聴者の心をつかまないと、すぐに離脱してしまうため注意しましょう。動画の最初で視聴者の興味を惹くためにも、イントロでひと工夫加えてオリジナリティを出す必要があります。たとえば目立つようなエフェクトを追加したり、ターゲット層に呼びかけるような演出にしたりなどが挙げられます。
テンポ感の良い動画にする
TikTokやInstagramのリールなどを含む短尺の動画は、テンポが速くリズム感の良いものが好まれます。リズム感の良い動画だと、飛ばされることなく最後まで視聴してもらえる可能性が高まります。必ずしもBGMをつける必要はありませんが、早口で話したり、ジェットカット(不要な間を消す)を取り入れたりと、聞き心地のよいテンポ感を意識してみると良いでしょう。
高頻度で投稿できるようにする
YouTubeショート動画をアップする数も重要な要素です。多くの動画をアップしていくことで、以下のようなメリットがあります。
- 反応の良い動画とそうでない動画を把握できる
- 意図せずして伸びる動画が出てくる可能性がある
- 動画をアップし続ける中で自然に認知も拡大していく
地道に動画をアップし続けていけば認知度は間違いなく高まり、経験やノウハウも蓄積されていきます。またエンゲージメントや視聴維持率のデータも蓄積していくため、分析しつつ次の動画作りに役立てていくことも可能です。手軽に投稿できるという利点を活かして、どんどん量産して視聴者の反応を伺いながら質を高めていきましょう。
6.ポイントを押さえて新しい動画運用を
YouTubeショート動画は、投稿方法が簡単かつ制作コストを抑え、気軽に投稿でき、再生回数も伸びやすい点が魅力です。より多くの視聴者にリーチできることに加えて、チャンネルの認知度アップにもつながります。ただし、メリット・デメリットの両方を比較したうえで、導入するかどうか検討しましょう。動画制作のポイントを参考にして、ぜひ活用してみてください。
7.Q&A
Q.TikTokとYouTubeショート動画の違いは何ですか?
A.まず、プラットフォームの違いによる視聴者層の違いがあります。そして、投稿できる動画の長さやフィルターの種類や数が違います。YouTubeショート動画では60秒までの動画しか投稿できないのに対し、TikTokでは10分までの動画の投稿が可能です。また、YouTubeショート動画ではフィルターを利用して撮影できませんが、TikTokではARエフェクトなどのフィルターを利用でき、よりクリエイティブな動画を制作できます。
Q.YouTubeショート動画をバズらせるにはどうしたらいいですか?
A.完全にバズるための法則は無いですが、以下の5つを意識して構成してみることをおすすめします。
- 冒頭にこだわる:具体的な内容を見せたり、インパクトのある動きをつけたりする
- 自然体でいる:手が加えられていないリアルな動画のほうが好感度が高い
- 結末が予測できないタイトルをつける:問いかけ、強い主張や逆張り、〜あるあるなど
- 定番のストーリーを作る:「つかみ→クライマックス→結末」などの定番の展開を作る
- トレンドの音楽やダンスを取り入れる:流行のものは興味を惹き付けやすい
- 動画の最後にユーザーに起こしてほしい行動を伝える:矢印アイコンでクリックを誘導する、高評価やコメントを促すテロップを入れるなど
Q.通常の動画とYouTubeショート動画の違いは何ですか?
A.通常のYouTube動画は12時間まで投稿できるのに対し、YouTubeショート動画は60秒までの投稿です。またスマートフォンでの視聴を前提としているため、投稿される動画は縦型がメインです。視聴方法は、通常動画のようにタップまたはクリックするのではなく、スクロールによる切り替えである点も大きな違いです。
Q.YouTubeショート動画の最適な長さは?
A.一般的に適切な尺は、30秒程度といわれています。時間内でコンテンツを十分に伝えられるうえ、視聴者にとって飽きずに見続けられる長さであるからです。制限時間は60秒までですが、短い尺に慣れている視聴者が大半のため、1分近くになると長いと感じ離脱してしまう可能性があります。
Q.YouTubeショート動画でBGM楽曲音楽は使用できますか?
A.15秒・30秒・60秒の楽曲を選択して使用できます。(15秒以上は使用不可の楽曲もあります)2022年11月までは著作権の関係上からか15秒までしか使用できませんでしたが、変更されています。
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